シングルで生活満足度が低くなる人とは?
「シングルを楽しむ」と聞くと、一人で自由気ままに過ごす生活を想像するかもしれません。
ところが今回の研究では、興味深い結果が得られています。
参加者が経験した自己拡張的な出来事のうち、82%は誰かと一緒にいるときに起きていました。
その相手は恋人ではなく、主に友人や家族です。
友達とスポーツをする、コンサートへ行く、食事をする、旅行へ出かけるといった経験が、自分の世界を広げていたのです。
一方、残る18%は一人で行われた活動でした。
つまり、シングルであることのメリットは「誰にも縛られず孤独に生きられる」ことではありません。
恋愛関係に限定されず、友人や家族との関係、さらには一人で行う活動まで、さまざまな経路から成長を得られることにあると考えられます。
ただし、誰もがシングル生活を同じように感じるわけではありません。
・本人の意思に反してシングルでいる人
・強く恋愛関係を望んでいる人
・「人はパートナーがいなければ完全ではない」と考えている人
ほど、シングルでいることに成長の可能性を感じにくい傾向がありました。
また、自尊心が低い人や愛着不安が強い人でも、同じ傾向が確認されています。
チームは別の実験で、参加者に新しく刺激的な未来の活動を想像させ、シングルに対する考え方そのものを変えられるかも検討しました。
その結果、短い課題だけでは「シングルには成長の可能性がある」という根本的な信念までは変化しませんでした。
ただし、その場で感じる気分や成長感は高まりました。
この点からも、「前向きに考えればすぐ幸せになれる」という単純な話ではないことがわかります。
さらに今回の研究だけでは、「シングルを成長機会だと考えるから幸福になる」のか、それとも「もともと幸福で楽観的な人だからシングル生活にも可能性を見いだしやすい」のかを完全には区別できません。
研究者たちも今後、この因果関係を詳しく調べる必要があるとしています。
今回の研究は、「恋愛するよりシングルのほうが幸せだ」と示したものではありません。
むしろ重要なのは、シングルでいる期間を「本当の人生が始まるまでの待ち時間」と考える必要はないという点です。
恋人が欲しい人であっても、今の時間に新しい趣味を始めたり、友人と出かけたり、一人で未知のことに挑戦したりすることはできます。
シングルでも幸福度が高い人の特徴とは、孤独に強いことでも、恋愛を必要としないことでもありません。
「今の自分にも世界を広げる機会がある」と考え、実際にその機会を使っていることなのかもしれません。


































