Credit:OpenAI,ナゾロジー編集部
biology

地球上の生命起源は二度起こっていた可能性 (2/2)

2026.08.16 21:00:00 Sunday

前ページ最初の生命は「自前の代謝」をまだ完成させていなかった?

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「生命は2度誕生した」と研究者が語る理由

では、共通祖先であるLUCAが存在したのに、なぜ研究者は「生命の起源は2回だった」と表現したのでしょうか。

その意味を理解する鍵は、生命が地球環境からどのように「自立」していったのかにあります。

論文によると、LUCAにはすでに遺伝暗号やリボソームが存在し、タンパク質を作る仕組みも働いていたと考えられます。

つまりLUCAは、単なる化学物質の集まりではなく、きちんと生命体の原型となる状態にあったのです。

一方で研究チームの復元では、LUCAの代謝酵素はまだすべてそろっておらず、一部の反応では周囲の環境が触媒の役割を担っていた可能性があります。

論文では、ここから代謝を自力で行える仕組みへ移行したことで、生命は地殻の固体触媒への依存から解放されたと解釈しています。

そして重要なのは、この「環境からの自立」がLUCAで完成したのではなく、細と古細菌へ分かれた後に完成した推定されることです。

研究責任者のウィリアム・F・マーティンは、大学のプレスリリースの中で「自由生活できる細胞だけを生命と呼ぶ」という立場を示しています。

この定義を採用するなら、共通の遺伝暗号やリボソームはLUCAですでに一度成立していたものの、周囲の金属に頼らず自力で代謝を回せる細胞への移行は、細菌と古細菌の系統でそれぞれ起きたことになります。

そのため、マーティンは「遺伝暗号の起源は1回だが、生命の起源は2回だった」という表現をしています。

注意しなければならないのは、この「2度の生命起源」とは、無生物からまったく別々の生命が2回発生したという話ではない点です。

これは自立代謝できないLUCAを完全な生命とは見なさず、細菌と古細菌からが生命の誕生と見なすならばという条件付きの考え方です。

なので、地球上でさえ2回の生命発生が起きているなら、宇宙から生命がやって来たというパンスへルミア説は間違いなんじゃないか、他の惑星でも生命は高い確率で発生しやすいのではないか、というような推測へ繋げるのは適切ではありません。

もちろん、この進化史が確定したわけではありません。

今回のLUCAの復元は、現在の生物に残っている遺伝子の分布から過去を推定したものであり、LUCAに存在した遺伝子が後に失われたり、別の酵素へ置き換えられたりした可能性を完全には排除できません。

また古細菌には機能が分かっていない代謝酵素がまだ多く、細菌より調査されたゲノムも少ないため、細菌側で新しい酵素が多く生まれたように見える偏りもあり得ると著者らは指摘しています。

それでも今回の研究は、「生命はどこかの瞬間に完成品として出現したのか」という問いに、新しい見方を与えています。

生命の成立とは1本の境界線を越える出来事ではなく、地球が自然の中で行っていた化学反応を少しずつ細胞の内部へ取り込み、最終的に環境から自立していく長い過程だったのかもしれません。

そしてその最後の自立が細菌と古細菌で別々に起きたのだとすれば、「生命の起源は2回あった」という、興味深い考え方もできるかもしれないのです。

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