「何が起きたか」以上に自尊心と関係していたもの
では、自尊心のパターンの違いには何が関係していたのでしょうか。
意外にも、失恋なのか失業なのか死別なのかといった「出来事の種類」そのものが説明できる違いは小さいものでした。
それより強く関係していたのが性格です。
特に、不安や心配、落ち込みなどを感じやすい「神経症傾向」が高い人ほど、調査開始時点で自尊心の低いグループに入りやすい傾向がありました。
反対に「外向性」が高い人ほど、自尊心の高いグループに入りやすい傾向が確認されています。
ただし、神経症傾向が高いから半年間の回復速度が遅くなる、と確認されたわけではありません。
性格は主に、ネガティブな出来事を経験した後の「自尊心の水準」と関係していました。
さらに重要だったのが、「この出来事によって自分の社会的地位が下がった」と感じることです。
社会的地位への脅威を強く感じている人ほど、自尊心も低い傾向がありました。
つまり、同じ出来事でも、それを自分の社会的価値を脅かすものとして受け止めているかどうかが、自尊心と結びついていたのです。
また年齢が高い人ほど、出来事後の自尊心が高い傾向も確認されました。
研究者たちは、年齢とともに感情を調整する力や精神的な安定性が高まる可能性を挙げていますが、今回の結果だけから「年齢が高いほど早く回復する」とまでは言えません。
人生の壁を乗り越えるというと、強い意志で一気に前向きになる姿を想像するかもしれません。
しかし今回の研究が示しているのは、もっと静かな回復の姿です。
大きな出来事を経験した直後には、自分自身への評価が低くなっていたとしても、多くの人では時間の経過とともに少しずつ上向いていきます。
一方で、自尊心が非常に低い状態が続く人もいます。
人間の心は誰もが同じ速さで立ち直るわけではありませんが、少なくとも「今の自己評価が、この先もずっと変わらない」とは限らないのです。
































