まばたきはなぜ「頭の切り替え」と結びつくのか

手がかりの1つは、脳の働き方を調節する物質ドーパミンです。
まばたきの回数は、ドーパミンなどが作る脳の調子に左右される可能性が、以前から注目されてきました。
大人では、頭の切り替えを支える脳の回路も、ドーパミンなどの調節を受けています。
まばたきと切り替えの両方が、同じ物質の影響を受けているのかもしれません。
次の手がかりは、まばたきの増え方。
生まれて間もない赤ちゃんは、まばたきがごくわずかしかありません。
それが小学校に入る前までに数倍に増え、同時に子どもごとの差も大きくなります。
実行機能がぐんと育つ時期と、ちょうど重なります。

研究チームは、この2つの重なりに目を付けた。
年齢が上の子ほど活動が前頭前野の右の背外側部に寄る、という傾向を思い出してください。
研究チームはこれを、脳が育つ中で「必要な場所が選ばれて働くようになる」過程と見ています。
まばたきの増え方は、その過程と結びついている可能性があります。
では、この関連は何の役に立つのでしょうか。
幼い子どもは、じっとしている必要がある計測や、体に負担のある計測が難しい相手です。
そのため、実行機能を支える脳の育ちを捉える手立てが、ほとんどありませんでした。
まばたきなら、特別な機械がなくても目で見ておおよそ数えられます。
保育園や家庭で、子どもの実行機能の育ちを見る手がかりの1つになると、研究チームは期待しています。
森口佑介教授は「今後、瞬きが、子どもの実行機能の育ちを知る手がかりとして活用できる可能性があります」と話します。
この研究で言えるのは、まばたきの多さと、切り替えの成績や右の背外側部の活動との間に関連があることです。
言えないのは、まばたきが切り替えの力を生む、という原因と結果の向きです。
研究チーム自身も、まばたきを実行機能の育ちを示す「候補」の指標と位置づけています。
対象は日本の2つの保育施設の子どもで、家庭の経済状況などは集めていません。
ただの癖に見えていたまばたきが、子どもの頭の育ちをのぞく手がかりになるかもしれません。
宿題から遊びへの切り替えだけが早いのは、まばたきのせいではなく、たぶん別の理由です。

























