脳は否定的な声を「じっくり」受け止めていた

チームが注目した脳の信号は、2つあります。
1つ目は、周りと意見が食い違ったと気づいた時に、自動的に出る素早い反応です。
食い違いに気づいてからおよそ400ミリ秒後(0.4秒後)に、電気信号が一瞬へこむもので、「N400」と呼ばれます。
2つ目は、もっと遅れて出て、長く続く信号です。
脳がある情報を、自分の目標や恐れに深く関わるものだと判断すると、電気の高まりが長い時間保たれます。
これは「LPP(後期陽性電位)」と呼ばれ、注意を向け続けたり、気持ちを整えようと努力したりしている目印とされています。
たとえるなら、1つ目は「あれ、違う」と気づく瞬間で、2つ目は「どういうことだろう」と考え込んでいる時間です。
はっきり差が出たのは、2つ目のLPPでした。
社交不安の傾向が強い人たちは、自分と食い違う周りの評価を見た後で否定的な場面を評価し直す時、とくに周りの点数が自分より低かった場合に、LPPの変化が大きくなっていたのです。
研究チームはこれを、否定的な声を処理するために、頭の働きを多く注ぎ込んでいた表れだと考えています。
PsyPostの記事の言葉を借りれば、周りをただ自動的にまねしていたのではなく、食い違いについて考えすぎ、否定的な情報を自分の気持ちに一生懸命取り込もうとしていた、ということです。
一方、1つ目のN400では、はっきりした違いは見つかりませんでした。
統計の上では、グループ・周りの評価の向き・場面の種類という3つの条件が絡み合う効果が出ました。ただ、組み合わせごとに細かく比べると、どれも統計的な有意差には届かず、はっきり解釈できる結果にはならなかったのです。
このことから記事は、社交不安に見られる偏った同調は、とっさに止められない反射ではなく、後から来る深い考えの段階で生まれていると見ています。
研究チームは、否定的な声に偏って合わせることが、社交不安の症状を長引かせる1つの原因になっている可能性があると述べています。
もしこの症状を和らげることが出来るのなら、前向きな場面や前向きな声がどんな役割を持つのかは、これから調べる必要があるそうです。
人の目が気になる脳は、暗い声にばかり熱心に耳を貸す、ちょっと困った聞き上手なのかもしれません。



























