ゾンビ星を燃え上がらせる「犯人」の正体

手がかりは、フレアが起きるタイミングにありました。
GX 301-2は41.5日かけてWray 977の周りを回っており、フレアは相棒に最も近づいたときと最も離れたときに起こり、最も近づいたときに最も強くなります。
そのため研究者たちは以前から、中性子星がプラズマの流れを通り抜けるときにフレアが起きるのではないかと疑っていました。
しかし、それを裏づけるだけの証拠はありませんでした。
そこで研究チームは、フレアと重なる16時間にわたってXRISMでBP Crucisを観測し、X線の「スペクトル」を細かく記録しました。
スペクトルとは光をエネルギーごとに分けたもので、そこに現れる暗い線(吸収線)や明るい線(輝線)から、光の通り道にあるガスの様子を読み取ることができます。
チームが注目したのは、電子を1個か2個だけ残した鉄のイオンが刻む線です。
これらの線は、観測の始めには吸収線として現れ、終わりには輝線に変わり、その間には吸収と輝きが入り混じっていました。
しかも線の位置は、光の波長が長い側へずれる「赤方偏移」を示していました。
中性子星自身の動きや地球の公転などの影響を差し引くと、光をさえぎっていたガスは、中性子星から見て秒速150kmを超える速さで、中性子星のほうへ向かっていたことが分かりました。
論文はこの変化を、中性子星へ流れ込んで降り積もる物質の直接の証拠だと位置づけています。
つまり長く疑われていたとおり、相棒の巨星が噴き出すプラズマが中性子星に落ち込んでいく様子が、フレアの最中にとらえられたのです。
研究チームによると、外へ流れ出るガスではなく、内側へ流れ込む電離したガスによるX線の吸収をとらえたのは、この観測が初めてです。
筆頭著者のロイ・ラヒン氏(UMBC、NASAゴダード宇宙飛行センター)は「恒星風のプラズマがコンパクトな天体に落ちていく明確な兆候は、これまで見たことがありませんでした」と話しています。
巨大な星が吐き出すガスがゾンビ星を光らせているこの構図を、海外の科学メディアは宇宙規模の「おなら」にたとえています。



























