宇宙に行ったのは母親、変化が出たのは子と孫

実験の舞台は、NASAがマウスを使って行った宇宙実験「ロデント・リサーチ20」です。
20匹のメスのマウスが、国際宇宙ステーションで42日間暮らしました。
地球に戻って5日後、母親のマウスたちは交配し、ちゃんと妊娠しました。
一度に生まれた子の数は、宇宙に行かなかった地上のマウスより少しだけ少なめでした。
ただ、その差は偶然でも起こりうる程度で、はっきり差があるとは言えないものでした。
母親そのものの子を産む力は、大きくは落ちていなかったのです。
はっきりした違いが出たのは、次の世代でした。
宇宙帰りの母から生まれたメスの子は、9か月のあいだに産んだ回数も、生まれた子の総数も、地上の母から生まれたメスより少なかったのです。
研究チームはこれを、子を産む力が早い時期に失われたしるしだと見ています。
さらに孫の代でも、卵の蓄えが減った状態が続いていました。
研究チームは、母親が宇宙に行ったことで、子を産む力の弱さが次の世代へ伝わったことを示す結果だとしています。
月や火星、さらにその先を目指す人にとって、宇宙には重力や放射線、外の世界から切り離された暮らしといった、宇宙飛行ならではの危険があります。
それなのに、宇宙が女性の生殖の仕組みや、その先の世代にどう響くのかは、これまでほとんど調べられてきませんでした。
2019年には、宇宙に行ったオスのマウスが健康な子をもうけられたという研究がありました。
今回の研究は、調べられることが少なかったメスの側の空白を埋めるために行われたものです。
ただし、これはあくまでマウスでの結果です。
人の宇宙飛行士やその家族に同じことが起きるのかは、まだはっきりしません。
それにしても、宇宙に行った母親から生まれた子や孫の体で、いったい何が起きていたのでしょうか?


























