なぜ孫にまで? 人の宇宙の旅にとっての意味

母親が宇宙に行ったことが、なぜ孫の代にまで響いたのでしょうか。
研究チームは、孫の代まで卵の蓄えの減少が続いたことから、影響が世代を超えて受け継がれている可能性があるとしています。
では、何がそうさせたのでしょうか。
クリステンソン教授が考えているのは、重力がほとんどかからない状態に母親がさらされたことで、「老化が早まった」のではないか、という筋書きです。
これまでのマウスや人の組織を使った研究では、重力がないと細胞がストレスに弱くなるかもしれないことが示されてきました。
そしてそれは、ミトコンドリアの不調と結びつけられています。
ミトコンドリアは細胞の中の発電所のような存在で、特別なDNAを持っています。
しかもこのDNAは、母親から子へだけ受け継がれます。
ただし、これはまだ仮説の段階です。
この仕組みが本当に働いているのか、そしてマウスの子を産む力とどうつながるのかは、これから確かめる必要があります。
では、人の宇宙飛行士にとってはどうなのでしょうか?
専門家によると、マウスは人と同じほ乳類で、生殖の仕組みも似ているため、宇宙が体に与える影響を知るのに向いた動物です。
メスのマウスが子を産む準備をくり返す周期は4〜5日ほどで、人の月経周期の平均28日よりずっと短いものの、周期ごとにホルモンが変わる仕組みはよく似ているそうです。
しかもこれは、子どもを産むかどうかだけの話ではありません。
クリステンソン教授によれば、エストロゲン(女性ホルモンの一種)のようなホルモンは女性の体のほとんどすべての器官にかかわり、骨を保つ働きも支えているからです。
カリフォルニア大学アーバイン校のウルリケ・ルーデラー博士は、もっと遠い宇宙のことも気にかけています。
国際宇宙ステーションで浴びる宇宙からの放射線は、それより遠い宇宙に比べると少なめです。
そのため、火星へ向かうような旅では、影響がさらに大きくなるかもしれないと博士は指摘します。
博士自身も今年、火星への旅で宇宙飛行士が浴びるくらいの放射線をマウスに当てると、卵巣の中の卵などの数が大幅に減ったと報告しています。
研究チームは、長い宇宙の旅が生殖の仕組みに与える影響を、さらに調べる必要があると訴えています。
ルーデラー博士も、人が長いあいだ宇宙で暮らしたり、ほかの星に住んだりするなら、こうした研究はますます大事になると話しています。

























