ちりに隠れていた「失敗した星」は、どこまで小さかったのか?

研究者たちはまず、ウェッブ望遠鏡の観測装置「NIRCam」(近赤外線カメラ)でIC 348の一部を調べました。
その結果、褐色矮星の候補が39個見つかりました。
翌年には、別の観測装置「NIRSpec」(光を波長ごとに分けて調べる近赤外線分光器)を使って、このうち15個の光を詳しく調べています。
すると9個が、この星団に新たに加わる星未満の天体だと特定されたのです。
中でも最も暗いものは、質量が木星のおよそ2倍しかないと見積もられました。
これらは、これまでに見つかった中で最も軽い褐色矮星とされています。
星と惑星の中間とされる天体が、木星2つ分ほどの重さで見つかったことになります。
今回の画像に写る褐色矮星たちは、失敗した星がどこまで小さくなれるのか、その限界を絞り込むのに役立つと見られています。
もっとも、この画像の見どころは失敗した星だけではありません。
星が最も密集しているのは画像の中心付近で、明るい星からはウェッブ望遠鏡に特有の光の筋「回折スパイク」が伸びています。
この筋は星そのものの形ではなく、望遠鏡の光学的な構造によって生まれるものです。
また画像の右上では、ちりの奥に隠れた成長途中の原始星が、周りのガスやちりに向けてジェットを噴き出しています。
こうして生まれる明るく目を引くジェットや流れは、「ハービッグ・ハロー天体」と呼ばれます。
この巨大なジェットは、宇宙空間に数兆マイルも伸びることがあります。
それほど巨大な構造でさえ、この最大級の画像の中ではほんの小さな一部分にすぎないのです。
なおIC 348は、NASAのチャンドラ観測衛星でも最近撮影されており、星のゆりかごがX線の光で紫色に輝く姿がとらえられています。
ちりに覆われた暗い雲は、星になりきれなかった小さな天体たちが身を潜める、宇宙の物陰でもあるのでしょう。
私たちが「星」と呼んできたものの境目は、思っていたよりずっとあいまいなのかもしれません。
失敗した星と呼ばれてはいるものの、これだけ天文学者の目を集めているのですから、宇宙の人気者としてはむしろ大成功と言えそうです。


























