正解は約7割、壁をよじ登って近道するタコまで

数十回の試行の結果、タコたちが正しい側を選んだ割合は約70%にのぼりました。
複数の統計的な検定(偶然かどうかを数字で確かめる方法)でも、これはまぐれとは考えにくいという結果でした。
さらに一部のタコは、研究者も予想していなかった行動を見せました。
箱からふつうに出て回り込む代わりに、箱の横の壁をまっすぐよじ登って乗り越え、近道をしたのです。
この壁越えは、正解した試行の59%で見られました。
キーゼラー博士によると、いちばん最初の試行でいきなりこれをやってのけたタコもいたといいます。
鏡を頼りにしたこうした行動が無脊椎動物(背骨のない動物)で記録されたのは、今回の研究が初めてです。
キーゼラー博士は、鏡を使うのに必要な頭の働きは「収斂進化(しゅうれんしんか:近い親戚ではない生き物どうしが、似た特徴をそれぞれ別に身につけること)」の例と考えられるかもしれない、と話しています。
博士は「タコが本当に鏡を使っていたのなら、それはタコが人とは関係なく独自に発達させたものだ」と述べています。
ただし今回の試験は、タコが鏡に映る姿を「自分」だと分かっているかどうかを調べたものではありません。
それでも、5億年以上前に人と別れた骨のない生き物が、鏡の中の景色と実際の場所を結びつけているらしいことは、賢さの見方を広げてくれます。
鏡をのぞいて見えない場所を確かめるという何気ない動作は、人や人に近い動物だけのものではないのかもしれません。
次に水族館でタコの水槽をのぞき込むときは、ガラス越しにこちらの背後まで探られていないか、少しだけ気にしてみてください。




















