30年以上前の「体力テスト」の記録を追いかけた

うつ病は、世界でおよそ3億2200万人、つまり大人の20人に1人が抱えている身近な心の病気です。
しかも、うつ病は女性のほうが男性よりおよそ1.5倍多いとされています。
研究に参加したアデレード大学のグラント・トムキンソン教授は、うつ病のリスクを下げるために「自分たちで変えられる要因」を見つけることが急がれていると話します。
今回使われたのは、1985年にオーストラリア全体を代表するように選ばれた、7〜15歳の子どもたちの体力テストの記録です。
以前ナゾロジーではこういう記事も紹介しています(子どもの頃にしておくべき7つの経験とは)
この記録では、1.6キロメートルを走る速さで子どもたちの心肺持久力(息を切らしながら体を動かし続ける力)を、立ち幅跳びで筋肉の瞬発力を測っていました。
さらに9歳、12歳、15歳の一部の子どもたちは、握力のテストと、自転車をこぐ機械を使った心肺持久力のテストも受けていました。
そして36〜49歳の大人になった彼らに、世界保健機関(WHO)が作った診断用の面接を行い、これまでの人生でうつ病などになったことがあるかを振り返って調べたのです。
分析の対象は、走る速さと立ち幅跳びでは1062人、握力と自転車のテストでは437人で、追跡の期間は平均32.5年におよびました。
では、子どもの頃の体力の差は、30年以上たった大人の心にどんな違いとして表れていたのでしょうか。
子どもの頃の体力は、大人の心とつながっていたのか?

追跡の期間中に、うつ病などを経験していたのは女性117人、男性73人でした。
分析の結果、子どもの頃に1.6キロメートルを速く走れた人ほど、大人になってからうつ病になるリスクが低い傾向があることが分かりました。
このつながりは、男性よりも女性で強く見られました。
女性では、子どもの頃の走る速さが速いほど、大人になってからうつ病になるリスクが20%程度低い計算でした(ハザード比0.80)。
男性でもリスクが低い向きの結果でしたが、はっきりした差があるとまでは言えませんでした。
一方で、立ち幅跳びや握力といった筋肉の力は、うつ病とのつながりがより弱く、はっきりとした関係は確かめられませんでした。
なお、握力で測った筋力については、弱いながらも、あとになってから表れてくるつながりが見られました。
研究チームのブルックリン・フレイザー博士は、最も強く一貫したつながりが見られたのは「息がハアハアと上がるような運動で鍛えられる体力」だったと話しています。
ただし、この研究で分かったのは、あくまで子どもの頃の体力と大人のうつ病との「つながり」です。
筆頭著者のカイリー・スミス博士も、子どもの頃の体力不足が大人のうつ病を引き起こすとは言えないと述べています。
うつ病には多くの要因が関わっており、体力はそのパズルの一片なのかもしれない、というのです。
このつながりが本当に原因と結果の関係なのか、どんな仕組みでつながっているのかは、今後の研究で確かめる必要があります。
それでもスミス博士は、子どもの頃の体力には体の健康を超えた良い面があるかもしれないと話しています。
トムキンソン教授も、体力は変えられるものであり、長い目で見た心の健康を高めるための大切な目標になりうると述べています。
子どもたちが息を切らして走り回る姿は、今の体を育てているだけでなく、何十年も先の心ともつながっているのかもしれません。
ただし、子どもに「将来の心のためだから」と言って持久走をすすめても、やる気が出るかどうかはまったく別の問題です。






















マジか。瞬発系はかなり得意なんだが、持久系はかなり苦手なんだよな