450種あまりのヘビを「すみかの景色ごと」比べる

警告色はこれまで、1つの種や、少ない数の動物のグループごとに調べられてきました。
しかし、たくさんの種類のヘビを見渡したとき、目立つ色と毒が全体としてつながっているのかは、はっきりしていませんでした。
そこで研究チームは、世界の458種のヘビについて、写真を集めることにしました。
写真の出どころは「iNaturalist(アイナチュラリスト)」という、市民科学(一般の人が参加して進める研究)のサイトです。
チームはここから自然の中で撮られた数千枚の写真を集め、ヘビが実際のすみかでどう見えているかを比べました。
そのために、それぞれの種が周りの景色に比べてどれくらい目立つかを数字で表す、新しい物差しを用意しています。
特に注目したのは、動物の世界で危険の合図によく使われる赤と黄色です。
さらに、毒があるかないかだけでなく、毒の強さや、痛みを引き起こす力とも、目立ち具合を照らし合わせました。
研究チームのケビン・ヒーリー博士は、博物館の標本なら色を正確に測れる一方で、その色がすみかでどう見えるかを知るには野外の写真が欠かせないと述べています。
景色ごと比べたとき、毒ヘビの見た目にはどんな違いが表れたのでしょうか。
毒ヘビは景色の中で「浮いて」いたのか?

結論から言うと、毒を持つヘビは、毒を持たないヘビに比べて、すみかの景色からはっきりと目立つ色をしている傾向があることが分かりました。
もちろん、すべての毒ヘビが派手というわけではなく、地味な色の毒ヘビも少なくありません。
それでも、目立つ色や模様を進化させてきた毒ヘビが数多くいることが、今回確かめられたのです。
研究を率いたエイミー・デュクロー氏は、中でも赤と黄色が、ヘビを周りの景色から浮き上がらせるのに特に効いていたと述べています。
デュクロー氏によると、この結果は、警告色が天敵に危険を知らせるために進化したという考えを支えるものです。
「天敵から隠れるのではなく、自分が危険だと宣伝しているように見える毒ヘビがいる」とも、デュクロー氏は語っています。
研究チームは、毒と目立つ色が、一部のヘビで一緒に進化してきた可能性があると考えています。
一方で、毒の強さや痛みを引き起こす力と、目立ち具合とのつながりは、今回のデータでは見つかりませんでした。
少なくとも今回の結果からは、「毒が強いヘビほど派手になる」という単純な関係は見えてこなかったのです。
チームはこのことから、毒の強さや痛みは、ヘビが目立つ色を進化させた大きな原動力ではないのかもしれないとみています。
また今回の研究は、生き物の色を、すむ場所の景色とセットで見ることの大切さも示しました。
図鑑の中で同じように派手に見えるヘビでも、その色が「隠れみの」なのか「看板」なのかは、すみかに置いてみて初めて分かるのです。




















