画面の中で「理想の相手」を育てる実験

実験に使われたのは、中米原産の「グリーンソードテール」という魚です。
名前は、オスの尾びれが剣のような独特の形をしていることに由来します。
研究チームのキャスリン・バロー氏によると、実験で動物に見せられる相手の種類はどうしても限られるため、配偶者選び(子を残す相手選び)を調べるのは難しいのだといいます。
そこでチームは、水槽の両端に画面を置き、それぞれに違う仮想の相手の動く映像を映しました。
実験ではメス11匹とオス12匹を、1匹ずつ試しました。
魚を3分間自由に泳がせ、真ん中の中立ゾーンと、それぞれの画面の近くのゾーンのうち、どこにいたかを観察します。
そして、より長く近くにいたほうの仮想の相手が「勝ち」となります。
面白いのはここからです。
勝った仮想の魚は「生き残り」、別の回で勝った仮想の魚と組み合わせて、その特徴をもとに新しい仮想の魚を2匹作るのです。
この「子ども」たちが次の世代として、次の回の候補になります。
この作業には遺伝的アルゴリズム(勝ち残った候補どうしの特徴を組み合わせて、新しい候補を作り出していく計算の方法)が使われました。
これは性淘汰(魅力的な特徴をもつ個体ほど相手に選ばれて子を残しやすく、その特徴が世代を重ねるごとに強まっていくという考え方)を、画面の中でまねたものです。
こうして9世代をくり返すうちに、魚たちは自分の好みをしぼり込み、理想の相手へと近づいていけるわけです。






















