ゴーグルなしで仮想世界に入れる「VRいす」が登場
ゴーグルなしで仮想世界に入れる「VRいす」が登場 / ※画像はイメージです。Credit: Generated by Codex (gpt-image), ナゾロジー編集部
technology

ゴーグルなしで仮想世界に入れる「VRいす」が登場

2026.10.12 10:30:00 Monday

休日にVRゲームに夢中になり、ゴーグルを外した瞬間に首の付け根がずっしり重く感じる。

VRのゴーグルは年々映像がきれいになってきましたが、解像度を上げ、視野を広げ、処理の力を高めるほど、機器は重く大きくなりがちです。

映像の質とかけ心地を両立させる工夫はいろいろ提案されてきたものの、「頭に装置を着ける」ことが前提である限り、この板挟みはなかなか解けませんでした。

そこで九州大学の研究者は、装置を軽くするのではなく、「そもそも何かを身に着ける必要があるのか」と問い直しました。

ゴーグルを着けずに、どうやって立体の仮想世界を目の前に映し出すのでしょうか?

九州大学の研究者が、座るだけで仮想世界に入れるという一脚のいすを論文で発表しています。

研究の詳細は、日本の九州大学らにより、2026年6月24日付で『Proceedings of the Special Interest Group on Computer Graphics and Interactive Techniques Conference Emerging Technologies』に掲載されました。

VR chair offers a new way into virtual worlds without a headset (New Atlas) https://newatlas.com/vr/kyushu-university-chair-virtual-worlds/
Mountless Aerial HMDs: Designing Non-Wearable HMD Experiences Based on Aerial Imaging Optics https://doi.org/10.1145/3799826.3812427

没入型VRの形は主に「部屋」か「ゴーグル」の2つだった

没入型VRの形は主に「部屋」か「ゴーグル」の2つだった
没入型VRの形は主に「部屋」か「ゴーグル」の2つだった / Credit: New Atlas

VRのゴーグルが景色に奥行きを感じさせるのは、左右の目にほんの少しずつ違う映像を見せているからです。

ゴーグルの場合は、顔のすぐ前に置いたレンズを通して、それぞれの目に別の映像を届けています。

これまで没入型のVRには、大きく分けて「投影ルーム」と「ゴーグル」という2つの形がありました。

ドーム型の投影ルームは周りをスクリーンで囲むので何も身に着けずに済みますが、映像の奥行きは部屋の大きさに縛られます。

一方のゴーグルは映像を好きな距離に置けるので景色に入り込んだ感覚を生めますが、その代わりに頭へ重さを背負わせます。

つまり2つの形は、片方の弱点をもう片方が補う関係だったのです。

今回の研究のきっかけは、ある学生のこぼした悩みでした。

論文の著者である九州大学の准教授は「日によっては、VRの外より中にいる時間のほうが長い学生でした」と振り返ります。

その学生はゴーグルを着けたまま眠ろうとさえしましたが、装置のせいで楽な姿勢が取れなかったといいます。

今のVR機器は短い時間の利用を前提に作られていて、仮想世界で暮らすように過ごす人には向いていません。

視野を広げ、映像を細かくし、処理の力を上げるたびに部品が増え、頭と首への重さと圧迫が増していくからです。

そこで研究室が選んだのは、光を扱う部品と計算する部品を頭から降ろし、周りの環境のほうへ移すという道でした。

次ページゴーグルなしで両目に別々の映像を届ける仕組みとは?

<

1

2

3

>

人気記事ランキング

  • TODAY
  • WEEK
  • MONTH

テクノロジーのニュースtechnology news

もっと見る

役立つ科学情報

注目の科学ニュースpick up !!