没入型VRの形は主に「部屋」か「ゴーグル」の2つだった

VRのゴーグルが景色に奥行きを感じさせるのは、左右の目にほんの少しずつ違う映像を見せているからです。
ゴーグルの場合は、顔のすぐ前に置いたレンズを通して、それぞれの目に別の映像を届けています。
これまで没入型のVRには、大きく分けて「投影ルーム」と「ゴーグル」という2つの形がありました。
ドーム型の投影ルームは周りをスクリーンで囲むので何も身に着けずに済みますが、映像の奥行きは部屋の大きさに縛られます。
一方のゴーグルは映像を好きな距離に置けるので景色に入り込んだ感覚を生めますが、その代わりに頭へ重さを背負わせます。
つまり2つの形は、片方の弱点をもう片方が補う関係だったのです。
今回の研究のきっかけは、ある学生のこぼした悩みでした。
論文の著者である九州大学の准教授は「日によっては、VRの外より中にいる時間のほうが長い学生でした」と振り返ります。
その学生はゴーグルを着けたまま眠ろうとさえしましたが、装置のせいで楽な姿勢が取れなかったといいます。
今のVR機器は短い時間の利用を前提に作られていて、仮想世界で暮らすように過ごす人には向いていません。
視野を広げ、映像を細かくし、処理の力を上げるたびに部品が増え、頭と首への重さと圧迫が増していくからです。
そこで研究室が選んだのは、光を扱う部品と計算する部品を頭から降ろし、周りの環境のほうへ移すという道でした。





















