ゴーグルなしで両目に別々の映像を届ける仕組みとは?

研究チームが使ったのは、「空中結像」と呼ばれる光学の技術です。
これは、映像を画面の上にとどめるのではなく、何もない空間にふわりと浮かんでいるように見せる技術です。
この技術を使い、左右の目に向けた立体のVR映像を、座った人の目の前の空中に映し出したのです。
ゴーグルではレンズが両目に違う映像を見せていましたが、このいすでは「マイクロミラーアレイ」という部品が同じ役目を果たします。
これは小さな鏡をたくさん並べた板で、それぞれの目に別々の映像を送り分けられます。
こうして、肘掛けいすほどの大きさの座席から、映画館のような立体の眺めが広がるといいます。
ただし、この種の鏡の板そのものは目新しいものではなく、論文によれば2006年ごろから開発が続けられてきました。
今回の新しさは、それを実際に座って周りを見回せるシステムとして組み上げた点にあります。
光学の部品はいすに取り付けられ、回転を感じ取るセンサーである「ジャイロスコープ」が、いすの向きの変化をリアルタイムで追いかけます。
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体ごと向きを変えれば立体の景色も一緒に回り、面倒な調整もいりません。
研究者によると、このいすは映像の奥行きではドーム型の投影ルームに、かけ心地と入りやすさではゴーグルに勝るといいます。
いわば、投影ルームの「何も着けなくていい安定した環境」と、ゴーグルの「自分だけの視点」を合わせた、第3の道というわけです。
著者の准教授はさらに、「私たちのシステムには、将来VR酔いを減らせる可能性もあります」と話します。
「ゴーグルという設計上の縛りがないので、より大きな光学部品や動く仕組みを自由に組み込めるのです」
そうした工夫によって、目に見えているものと体が感じているもののズレを和らげられるかもしれないというのです。





















