この仲間では「似ている」が親戚の証拠とは限らない、種を分けたとみられる2つの道

今回の家系図からは、もう1つ大事なことが見えてきました。
同じ木や近い仲間の木を食べ、ほかには無い見た目の特徴も共有しながら、別々の島に分かれてすむペアがあります。ところがその中には、家系図の上で一番近い親戚どうしとは支持されない例があったのです。
見た目や暮らしぶりが似ていても、それが血のつながりを表すとは限らないということです。
研究チームは、この仲間が新しい種に分かれた仕組みとして、2つの道を考えています。
1つは食べる木を変えて分かれる道で、別々の木を食べながら同じ島にすむサンドルグンバイとヒサスエイがその例ではないかとみられています。
もう1つは島で隔てられて分かれる道で、ふだんは同じ木を食べ、別々の島に分かれてすむオガサワラグンバイとカルベイがその例ではないかとみられています。
また父島列島で海辺や街の木を食べるグループは、最近になって食べる木を1度だけ切りかえ、人が植えて広まったとされる外来の木を食べるようになった集団とみられています。
これは、ここ数百年の間にサンザシからリンゴへ食べるものを変えたリンゴミバエと同じように、新しいグループが生まれ始めた姿なのかもしれません。
ただし、2つの仕組みがそれぞれ何回働いたのか、2つのグループの間でどれほど遺伝子が混ざり合っているのかは、まだ分かっていません。
DNAを取り出せる標本が無い種もいるため、仲間全体の家系図や枝分かれした時期を明らかにするには、さらに標本を集める必要があります。
小笠原には約440種の固有の昆虫がいますが、その進化を調べた研究は多くありません。研究チームは、こうした解明が世界自然遺産としての価値を高めることにもつながると期待しています。
父島列島と母島列島の森で、同じシマシャリンバイの葉に残る黄色いしみも、実は別々の種の虫がつけた跡だったのです。
そっくりに見える2匹が海をへだてて別々の道を歩んでいたように、「似ている」は親戚の証明にはならないのかもしれません。























