・洗濯機で洗濯したレゴ®ブロックが数学や生命、アートなどに応用できることが判明した
・実験では、ブロックを洗濯すると連結して複雑な形になることを発見
・実験の結果から、ブロックの洗濯が数値計算のシミュレーション装置や人工生命の実験装置などに応用できることが分かった
レゴを洗濯機にぶちこもうと思ったきっかけが気になります。
数学者Ingo Althöfer氏は、「洗濯機で洗濯したレゴ®ブロック」の研究をした世にも珍しい研究者です。一見すると研究なのか何なのかわかりませんが、実はれっきとした研究です。彼の実験によって、ブロックおもちゃには玩具以上の潜在能力を秘めていることがわかりました。
Evolution of Complexes from LEGO™ Bricks in a Washing Machine
2013年、彼はバケツいっぱいの古いレゴ®ブロックを洗濯機で洗濯するという実験を行いました。その実験では、70分間40℃の水温で洗剤は使用しないという条件の下、すべて連結していないバラバラのレゴ®ブロックで洗濯を行いました。
その結果、洗濯を終えたレゴ®ブロックは、単独ではなく他のブロックと連結し、ただ洗濯しただけとは思えない複雑な形を形成しました。ほとんどのブロックは2つ以上連結し、最大6つまでブロックの連結が見られましたとのこと。
また、実験結果から、レゴ®ブロックを洗濯する洗濯機は、モンテカルロ法の原始的なシミュレーション装置になることがわかりました。モンテカルロ法とは、乱数を用いて何らかの値を見積もる方法です。
他にも、レゴ®ブロックの洗濯が「人工生命の実験装置」となる可能性があることや、また原始生命の進化に関する実験的検証のひとつであるユーリー・ミラーの実験モデルとして有用であることも判明。レゴもさることながら、三大家電である洗濯機にこんな能力が秘められていることも驚きです。
さらに、エントロピーや崩壊、自己組織化の自然発生を視覚的に確認することのできる装置や現代アートを援助するようなツールになるとも考えられています。
研究では、レゴ®ブロックに似た他の製品を用いた実験も行いましたが、そのほとんどがレゴ®ブロックと同じく複雑な形になることがわかりました。
つまり、ブロックおもちゃの洗濯には、数学や生命、アートなど様々な分野に応用できる可能性が存在するということです。
Althöfer氏の論文には、学術以外の重要なことにも言及しています。
「最終警告:洗濯機にレゴ®ブロックの小さい、または壊れそうなブロックを入れないで!洗濯機が壊れちゃうよ!」。
もしかしたら、彼も実験の最中に洗濯機を壊してしまったのかもしれませんね。
レゴ®ブロックの洗濯を実際に試す人…はいないかもしれませんが、その際は洗濯機を壊さないように気をつけましょう。