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「すべてが赤く見える」。ある薬を過剰摂取してしまった男性の悲劇

2018.10.05 Friday

Image: Shutterstock
Point
・勃起不全薬の主成分の原液を飲んだ男性が、視野が赤くなる症状を訴えて病院に駆け込んだ
・症状は恒久的なものであり、画像による検査で視細胞が損傷を受けていることが確認される
・薬局で出されるバイアグラは、成分が調整されているため危険ではない

小説などでよく見る「世界が色あせて見える現象」は、脳に原因があることを以前お伝えしました。しかし「あるもの」を過剰摂取すると、今度は「世界が赤く見える現象」が発生するようです。

あるニューヨークのクリニックに、一人の31歳男性が駆け込みました。その症状は、なんと「視界のすべてが赤く見える」というもの。彼は、インターネットから勃起不全薬の主成分であるクエン酸シルデナフィルの原液を購入しましたが、あろうことかボトルから直接飲んでしまったのです。

医者が下した診断は、視神経中毒症の一種である非可逆的赤視症でした。勃起不全薬の原液を一度に大量に飲んだことで、恒久的なダメージを眼に負ってしまったようです。勃起不全薬の副作用として、一時的な色覚異常が起こる可能性は知られていましたが、今回のようにはっきりと視細胞に効果が観察できた症例は初めて。症例研究は、“Retinal Cases”で発表されています。

研究者らはこの症例を詳しく調べるため、最先端のイメージング技術によって彼の眼の構造的な変化を観察。すると、網膜の外側と、色の知覚に働く錐体細胞の損傷がはっきりと表れていました。

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ED治療薬として有名なバイアグラにも、主成分としてクエン酸シルデナフィルが含まれています。この事件が報道された際、使用された薬物としてバイアグラの名前が報道されていましたが、製薬会社でバイアグラの製造元であるファイザー社のスポークスマンは、それは誤りだと述べています。実際、規制を守っている会社で、液状のクエン酸シルデナフィルの販売を許可されているところはないので、バイアグラそのものが危険というわけではないようです。

男性がどれほどの量の薬を飲んだのかははっきりしていませんが、報告書では50mg/mlよりもずっと多かったのではないかとされています。また、彼が買った薬の純度も鍵となるでしょう。2011年の研究では、ネット上の22の薬局サイトで売られているバイアグラのうち、なんと77%が偽物でした。アメリカのFDAは、ブランドの無い勃起不全薬を買わないようにと警告しています。

一体ナニが彼をそこまで駆り立てたのでしょうか…。どんな薬も、用法用量を守って正しく使うようにしましょう。

アロエベラは「媚薬」だった。勃起不全の救世主となるか

via: Motherboard/ translated & text by SENPAI

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