・コーヒーの苦味に敏感な人ほど、コーヒーを好んで飲むことが判明
・コーヒー好きの人は、カフェインの苦味を「良いもの」と結びつけることで、その苦味を楽しむ能力を獲得する
・紅茶好きの人は、苦味に敏感であるために、コーヒーか紅茶かという選択を迫られた時に、より苦味の少ない紅茶を選択する可能性がある
コーヒーが苦手な人にとって、「コーヒー好きは苦味を感じないの?」と感心することがあるのではないでしょうか?
しかし実際は、その逆だったようです。
最近の研究で、コーヒーの苦味に敏感な人ほど、コーヒーを好んで飲むことが判明しました。しかも、その敏感さはなんと遺伝子レベルで決まっているのだとか。研究内容は、11月15日付でオンライン雑誌Scientific Reportsに掲載されています。
https://www.nature.com/articles/s41598-018-34713-z
研究チームの一員である米ノースウェスタン大学・フェインバーグ医学院のマリリン・コーネリス氏によると、コーヒーを好んで消費する人は、カフェインが誘発する「正の強化刺激」を学習することで、カフェインの苦味を味わい、検知する能力を獲得します。つまり、コーヒーの苦味、特にカフェイン特有の独特な苦味を味わう能力が高い人ほど、その苦味を「良いもの」と結びつけることができるということ。通常、苦さが毒を警告するサインとして作用することを考えれば、この発見はかなり意外です。
研究チームは、苦味のある飲み物として一般的な紅茶・コーヒー・お酒の消費に遺伝子が与える影響を探るための調査を行いました。40万人以上のイギリス人における化学物質、カフェイン、キニーネ(トニックウォーターに含まれる成分)、プロピルチオウラシル(通常、飲食物には含まれない人工化学物質)の苦味を探知する遺伝子の組成を調べました。これらの苦味成分は、紅茶やコーヒーなどに自然に含まれる苦味成分と同じ反応を人々に引き起こします。また、被験者は、一日に摂取する紅茶・コーヒー・お酒の量を含む、健康状態や生活習慣の調査を受けました。研究チームは、苦味成分に対する反応の強さをスコア化し、飲み物の選択と比較しました。
その結果、カフェインの苦味を探知する遺伝子スコアが高い人は、そうでない人と比べて、一日4杯以上のコーヒーを飲むヘビードリンカーである確率が2割も高いことが判明しました。コーヒー好きな人は、カフェインが生むざわめきのサインである苦味を学習することで、その苦さにハマるのかもしれません。
これに対し、紅茶好きの人は、キニーネやプロピルチオウラシルの苦味を好まないことが判明。もしかしたら、コーヒーか紅茶かという選択を迫られた結果、コーヒーの苦味を避け、より苦味の少ない紅茶をチョイスするのかもしれません。また、これらの人々は、赤ワインなどのお酒も避ける傾向があるようです。
この研究では、被験者が飲み物に加えたミルクや砂糖などは考慮に入れられませんでした。研究チームによると、個人レベルでは、コーヒーの消費を決める因子は、社会経済的地位、カフェイン代謝能力、喫煙など、複数存在し、それらの因子が作用した上で、人々はブラックコーヒー、カフェオレ、カプチーノなど、さまざまな飲み方をするそうです。だからこそ、「遺伝子」に着目した今回の研究は新奇性が高いといえるでしょう。
コーヒー派も紅茶派も、遺伝子で決められていたとは意外ですね。もし派閥が合えば、その人とは遺伝子的に近いものがあるのかも…。
via: livescience, sciencenews/ translated & text by まりえってぃ