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「オーガニック野菜」が地球温暖化に悪影響を与えているかもしれない

2018.12.18 Tuesday

Point
・有機農法は、化学肥料を使わないことにより、森林伐採を伴う農地拡大に繋がっている
・森林伐採により、二酸化炭素排出量は農薬を使用した方法と比べて、70%近く増加している
・有機的な精肉や乳製品の生産にも、有機野菜の飼料が使われるため、同様に気候変動に影響を与えている

農薬を使わない有機野菜は、安全・健康志向の代名詞として人気です。しかし、そんな有機野菜が、実は思わぬ形で地球に悪影響を与えていた可能性があります。

スウェーデンにあるチャルマース工科大学の研究チームによると、有機農法は伝統的な農薬農法と比べて、より広い農地を必要とするため、二酸化炭素の排出量が格段に増えていることが判明しました。研究は、12月12日付けで「Nature」上に掲載されています。

Assessing the efficiency of changes in land use for mitigating climate change
https://www.nature.com/articles/s41586-018-0757-z

より広い農地を必要とする有機農法

スウェーデンにおける有機農法は、従来の農薬農法と比較しておよそ70%も炭素排出量が多くなっています。同研究チームの主任研究員であるステファン・ウィルセリウス氏によると、「有機農法が化学肥料を使用しないことで、より広い農地を必要とする」ことが原因とのこと。

農薬や化学肥料を使用すれば、一度に大量の作物を安定して収穫することができます。しかしその代わり、農薬の中に含まれる化石燃料が、土壌汚染や環境汚染を促進してしまうのです。有機農法はその解決方法として採用されたのですが、反対に化学肥料を使わないことで1ヘクタール当たりの収穫量は大幅に減少します。

結果的に、有機農法で農薬農法と同じ収穫量を達成するためには、森林を伐採して農地を広げるしかありません、そしてこの森林伐採が、間接的に二酸化炭素排出量の増大につながっていたのです。

次ページ■影響は温室効果ガスの数倍以上

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