■富山大の研究で仕事と働く人の抑うつ症状に関係があることが判明。
■抑うつ発生は仕事の不満足度が、回復には仕事の要求度などの職務ストレスが関係。
■1年間の追跡調査で判明、現実にも1年で回復可能とのこと。
無限ループかな?
富山大学の研究グループが働く人を1年間追跡調査した結果、働く人の抑うつ症状の発生とそこからの回復には、それぞれ別の仕事の要因が強く影響していることが分かりました。
この研究成果は科学専門雑誌「Journal Of Occupational and Environmental Medicine」に掲載されています。
development and persistence of depressive symptoms: A 1-year prospective study
https://journals.lww.com/joem/Abstract/2019/03000/The_Contributions_Made_by_Job_Satisfaction_and.3.aspx
1年間で鬱から回復するケースも
研究チームは、定期的に調査を行っている公務員約2000人のデータを使い、抑うつ症状の発症と回復において、仕事のストレスと満足がどのように影響しているのか調べました。抑うつ症状の診断にはCES-Dという指標を利用し、アンケートの回答で得られる点数から抑うつ状態を判断しました。
分析を始めた時点その1年後で比べて、抑うつ状態が回復した人と新たに抑うつ状態になった人を対象に検討し、鬱病発症と回復のスイッチがどこにあるのかを特定しました。その結果、1年後の抑うつ発生は「仕事の不満足」「短時間睡眠」「未婚」が要因と分かりました。
また、抑うつからの回復については「仕事の裁量度」「仕事の要求度」「慢性疾患」に困難を抱えていると回復が阻害されることも分かりました。
今回の研究によって、職場でのストレス対策における「うつ予防」と「うつ回復支援」の両方の改善指標の違いが明確になりました。さらにこの結果から抑うつからの回復は1年という比較的短期間で可能という結果も出たようです。
…でも1年間で鬱を治すより、1週間で職場を壊滅させた方が早いかもしれない(台無し)。
ちなみに働き方改革では労働時間の削減が推奨されていましたが、時間だけでなく、職場単位で働く環境の改善に取り組む必要がありそうです。