腸は脳から独立した神経系を持っており、人間の感情を左右するといわれています。ではもし、腸内に寄生虫がいたら…?
最近専門誌 Brain Researchで、腸内寄生虫が精神疾患の治療を助ける可能性があるという研究が発表されました。
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0006899318300374
腸内寄生虫は、実は世界中で20億以上の人たちに寄生しています。重大な健康問題が引き起こされることもありますが、一方で腸内細菌の炎症を抑えるといった、腸にとって有益な効果も報告されています。
研究を行ったデューク大学のウィリアム・パーカーは次のように説明します。「私たちは、なぜ西洋の人たちが消化器系の病気やアレルギーに弱いのかを調べるために、10年以上前から腸内寄生虫の蠕虫(ぜんちゅう)を調べてきました。その中で、治療で蠕虫を使った人たちの精神的な問題(不安、抑うつ、偏頭痛など)に対して有益な効果が発見されました。予期していなかった結果でしたが、これは蠕虫に炎症を抑える効果があり、その炎症がそれらの障害と関係しているからだと考えられます」
またパーカー氏は他の研究で、蠕虫は自閉症の典型的な症状である「社会的な交流やコミュニケーションの困難」には効果がなかったものの、自閉症と関連した炎症、例えばアレルギーや消化器系の問題には効果があることを示唆しています。
蠕虫療法の研究はまだ始まったばかりですが、この分野は高いハードルに直面しています。蠕虫は生物であるにも関わらず、米国の医療機構においては現在「薬」として扱われているのです。医学的に認可された薬として蠕虫を育てるのは、長くお金のかかるプロセスになりそうです。
via:PsyPost/ translated & text by Nazology staff
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