■スマホゲーム『シー・ヒーロー・クエスト』は、アルツハイマー研究のデータ収集を目的に開発された
■アルツハイマー患者は2050年までに1億3500万人に達すると予測されている
■プレイ内容は科学データとして収集され、自動でドイツのデータセンターに転送される
『シー・ヒーロー・クエスト(Sea Hero Quest)』はドイツテレコム社とイングランド・イーストアングリア大学、他数校が2016年に共同開発した無料スマホゲーム。
アルツハイマー研究のためのデータ取集を目的としており、プレイヤーの記憶力・空間認知力をデータとして算出できるそうだ。現在、世界中には430万人を超えるプレイヤーがいる。
遊んで楽しく、医療研究にも役に立つ。まさに1粒で2度美味しいアツいゲームだ。
研究の詳細は、4月23日付けで「PNAS」に掲載されている。
https://www.pnas.org/content/early/2019/04/23/1901600116
アルツハイマー患者は2050年に1億3500万人
主任研究員のマイケル・ホルンベルガー氏は「2050年までにアルツハイマー患者は1億3500万人にまで増加するだろう」と話す。そのため病気の早期発見と治療法改善は急を要するものだ。
しかし不幸なことに、アルツハイマー診断の要である「記憶力の低下(認知症)」は、症状が進行した後期段階でしか発見されない。しかもアルツハイマーにおける脳の変化は、目に見える症状が現れる10年以上前にすでに始まっているそうだ。
その初期徴候が空間における認識・方向感覚の低下だと言う。そして空間認知力をテストして、データを収集することのできるゲームが『シー・ヒーロー・クエスト』というわけだ。