Point
■10年後の幸福度は「現状維持」を希望した人々が一番高い
■現在と未来の自分の類似性を考えることで長期的な意思決定にポジティブな影響を与える
日本人の幸福度は低い。2019年に国連がまとめた幸福度ランキングでは58位になっている。
その要因は様々あるだろうが、一つ挙げられるのは私たちの「自己肯定感」の低さだろう。幸福にはある程度、現在の自分に肯定感を持つ必要がある。
カリフォルニア大学ロサンゼルス校(ULCA)などの研究によると、「10年後の自分は、今とあまり変わらない」と考えることが、晩年の幸福度と大きく関係しているという。
10年後も変化がないと予想することが、自己肯定感や幸福感にどう影響してくるのだろうか。
Identity Over Time: Perceived Similarity Between Selves Predicts Well-Being 10 Years Later
https://journals.sagepub.com/doi/10.1177/1948550619843931
研究者は10年後の生活満足度を予測する調査において、4963人に「将来の自分について」のアンケートを実施後、10年にわたり分析した。
その結果、10年後の暮らし向きが「良くなる」と予想していた人と「悪くなる」と予想していた人の両方が、10年後に幸福度が低下。現状維持を希望していた人々が、最も10年後に幸福感を抱いていた。
今の自分と未来の自分との類似性を考えよう
人間の細胞は定期的に生まれ変わる。性格も多少は変わる。しかし記憶は違う。
心理学研究でも、将来の自分との類似性を認識することが長期的な意思決定や結果に有益であることを示唆するものが増えているという。
現在の自分と未来の自分との連続性を認識することで、現状で肯定するべき部分も出てくるだろう。たとえば「好きな深夜アニメをずっと見ていたい」「生活水準を落としたくない」ならば、それは現状を肯定する鍵にもなってくる。
今それができている自分は、肯定すべきものなのだ。
これを機に、今の自分と未来の自分に思いを馳せてみてはいかがだろうか。
reference : eurekalart / written by Nazology staff