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世界初の快挙! 反物質を使った2重スリット実験に成功! (2/2)

2019.05.10 Friday

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少しずつ明らかになる反物質の性質

Doubleslit3Dspectrum
Doubleslit3Dspectrum / 2重スリット実験 スペクトルイメージ
光子や電子などの素粒子は、粒子としての性質のほか波としての性質も持っている。それを示したのが有名な二重スリット実験だ。

光は2つの隙間を空けた衝立越しに照射すると、衝立の向こうのスクリーンに干渉縞という縞模様を残す。これは光が粒子としてではなく波として振る舞っている証拠だ。

この実験を89年に日立製作所が電子を一粒ずつ撃ち出すという方法で行ったところ、やはり同様にスクリーンの衝突跡が干渉縞になったという報告がある。

一粒と確認して撃ち出した電子でさえ、波として空間を伝わった痕跡を残すというのは、常識では考え難い結果だ。これは物理の基本的な実験であると同時に、量子力学のヘンテコさを象徴する重要な実験でもある。

そして今回は、この実験を反物質である「陽電子」を用いて行うことに成功したのだ。

反物質版の実験は、陽電子を低エネルギービームとして生成する方法で実現しており、光を使った実験のように単純な構造ではないのだが、原理としては通常の二重スリット実験と同じことを行っている。

その結果、反物質も通常の素粒子と同様、このおかしな量子力学の原理に従った性質を持っていることが判明したのだ。

物理においては、理論上は明確に予測できるような現象でも、実際に実験を行って確認されるまでは事実として受け入れてもらえない

アインシュタインの相対性理論も、観測によって実証されるまでは物理の世界では評価してもらうことができなかった。宇宙望遠鏡の名前にもなっているハッブルは、観測によって宇宙の膨張を証明した人物だ。

反物質が通常の粒子と同じように波の性質を持っているという報告は、一般の目線ではなんだか当たり前の事のようにも感じてしまう。しかし、反物質を使って実際に実験を行い、研究者たちが自身の目でその事実を確認したというのは物理学の世界ではとつもなく大きな意味があることなのだ。

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