帯水層は氷河期の終わりに作られた
研究主任のクロエ・グスタファソン氏によると、帯水層が作られた原因は氷河期にあるという。
海水というのは凍るときに塩分を外に押し出して、ほとんど真水の状態に戻る。こうして巨大なアイスシートが大陸を覆って行くにつれて、海水領域は狭くなり、海面も徐々に低くなっていった。
しかし氷河期が終わりを迎えると、凍っていたアイスが溶け出して水になり、大陸棚に流れ込んで大きな三角州を形作る。その際に、陸が淡水を吸収することで帯水層が出来上がったのだ。
それと同時に海面が上昇して帯水層を海水の下に閉じ込めることになる。こうして「海水の下の淡水」という構造が出来上がるわけだ。
さらにグスタファソン氏は帯水層の水分量について、「降雨などの水が陸に吸収されることによって帯水層に流入し、水が補充されているのではないか」と推測する。そして淡水の補充された帯水層は波の圧力によって圧迫され、海中に漏れ出る。
これは例えるなら、水を含んだスポンジを押すことで中の水が漏れ出るのと同じ原理である。こうして海水と淡水が混ざり、アメリカ大西洋岸は塩分濃度の低い海水が流れていたのだ。
まさに海の中のオアシスとも取れるが、塩分濃度の低いこの場所は、魚たちにとってはオアシスではないかもしれない。