自己質量の650倍の重さを持ち上げる
また人工ファイバーは熱に敏感で、たった1度の熱変化で形状を変化させる。
実験ではファイバーを手に取った瞬間、手だけの温かさで繊維がカールし始めた。わずかな温度上昇でもコイル状に巻きつき、高い強度の収縮力が発生することが判明したのである。ファイバーは温度が下がると、元の長さに戻り始める。
研究チームはその後のテストで、ファイバーの縮小と膨張のプロセスがおよそ1万回まで反復可能であることを実証している。さらに強度テストでは、自己質量のなんと650倍まで持ち上げることができることが証明された。
今後の研究では、人工筋肉ファイバーに電極のような加熱材を内蔵することによって、外部熱源に頼らない筋肉収縮の実現を計画している。また人工ファイバーをより多く織り合わせることで、より本物に近い筋肉繊維を再現できるかもしれない。
現在の義手・義足には30ポンド(約13kg)もの重さがあり、その原因の大部分が内蔵されている作動モーターの重さによる。これを人工筋肉ファイバーに取り替えることができれば、義手・義足を使う人たちの生活は今よりずっと楽になるだろう。