暗いクエーサー?
このタイプのブラックホールは、本来なら降着円盤はドーナツ型になるはずだ。しかし、観測を行うとそれは物質が欠乏していながらも、薄い平たい円盤になっているという。
円盤は光速の10%という速度で回転しており、地球に向かう回転方向では明るく輝き、逆に地球から離れる方向への回転では暗くなっている。こうした効果はアインシュタインの特殊相対性理論により予言されたもので、重力の強さと速度が光子の見え方に影響している。
「これほど明確な可視光で一般相対性理論と特殊相対性理論の両方の効果を見たことはない。これらは相対性理論を含めないと理解できないデータだ」と研究者は興奮気味に語っているという。
これは誰も存在するとは思っていなかった、非常にスケールダウンされたタイプのクエーサーといえる。1000倍から10万倍の光を放つブラックホールに見られるものと、同じタイプの降着円盤が存在していたのだ。
これにより、これまでは観測が難しかったブラックホール近傍の降着円盤の様子が観測できるようになった。
この発見を元に、研究チームは同タイプの天体を他にも探していきたいと語っている。
まだまだ、宇宙には天文学者の予想を超えた神秘が潜んでいるようだ。この発見により、ブラックホールの研究も大きく躍進するかもしれない。