なぜ独裁者に惹かれてしまうのか?
それでは経済を悪化させるような独裁者に強く惹かれてしまう国民が多いのはなぜでしょうか。
これについて共同研究員のステファニー・リジオ氏は「生物の進化的な心理現象に起因する」と指摘します。
リジオ氏によると、この心理は「何の意図も介入していないような現象に意識的・意図的な目論見を立てる」というものであり、例えば背後の茂みがガサガサと動いたらそれは単に風のせいだとしても、捕食者や敵の部族と考えるといった傾向です。
こうした考え方は自然界の動物や人間の先祖が生き残るために役立つものであり、現代の私たちにも根強く残っています。
特に社会的動物である霊長類は、オスの絶対的なリーダーという一個体の権威を受け入れるのに慣れてきました。そのため、グループレベルで成し遂げたことに対して、そこにリーダーは関わっていないとしてもリーダーの教えのおかげであると思い込むのです。
こうした無意識的な脅迫こそ、独裁者を強大なリーダーたらしめるものなのでしょう。