
Point
■ダーウィンズ・バーク・スパイダーというクモが生成する糸の一種から未知のタンパク質「MaSp4a」を発見
■「MaSp4a」には、柔軟性に関係する成分として知られているアミノ酸「プロリン」を豊富に含んでいた
■糸が分泌される「膨大部」と呼ばれる腺が、他のクモよりも長いことも分かった
ダーウィンズ・バーク・スパイダーという種類のクモを知っていますか?
このクモは、生物が生成する物質の中ではもっとも頑丈な糸でできた巣を造ります。今回その「最強の糸」の中から、未知のタンパク質が発見されました。
発見したのは、米国とスロベニアの複数の研究機関の研究者たちから成る共同チーム。論文は、7月25日付けで雑誌「Communications Biology」に掲載されています。
https://www.nature.com/articles/s42003-019-0496-1
超巨大な巣を支える世界一強いクモの糸
ダーウィンズ・バーク・スパイダーはコガネグモ科の一種。車輪型の巣を張ることで知られています。
今回研究チームは、そのダーウィンズ・バーク・スパイダーが糸を分泌する腺と、生成される糸に焦点を当てた調査を行いました。
巣の特徴は、強度だけではありません。その大きさは、幅25メートル、面積2.8平方メートルにもおよび、これは一匹のクモが造る巣としては世界最大です。
彼らは川を横切るようにして張られた巣を使って、他のクモには到達できない環境で生活し、獲物を捕獲することができます。

さらに先行研究では、このクモが7種類の異なるタイプの糸を生成し、巣のさまざまな部分の形成に使い分けていることが示されていました。
これらの糸の1種である「引き網」と呼ばれる糸は、この世で最強のクモの糸として知られ、「車輪」に強度を与える輪止めを造るために使用されます。