柔軟性に関係する「プロリン」を豊富に含むタンパク質を新発見
この「引き網」の成分を分析したところ、すでによく知られているMaSp1とMaSp2という2種類のスピドロイン(クモの糸に含まれるタンパク質)が見つかりました。これらは、多くの種類のクモの糸に見られる成分です。
ところが、彼らの引き網には、これら2種類のスピドロインに加えて、他のクモの糸には存在しない別の種類のスピドロインをもう1つ含んでいたのです。
MaSp4aと名付けられたこのタンパク質は、プロリンと呼ばれるアミノ酸を豊富に含んでいました。プロリンは、柔軟性に関係する成分として知られています。
また、MaSp4aは、MaSp1やMaSp2に含まれるその他の成分の含有量が少ないことも、もう1つの発見でした。

研究チームはさらに、ダーウィンズ・バーク・スパイダーが糸を分泌する「膨大部」と呼ばれる腺が、他のクモよりも長いことも突き止めました。研究チームは、「これこそが強靭な糸が生まれる手掛かりではないか」と推測しています。
特大サイズの膨大部で、通常より高い柔軟性を生み出すタンパク質を含む糸を分泌する…。そんな特殊機能こそが、ダーウィンズ・バーク・スパイダーが誇る巨大で頑丈な蜘蛛の巣を支えているんですね。