危険なガンマ線
太陽より明るく輝く月、というワードはなかなかに魅力的ではありますが、これは別に良いニュースというわけではありません。
ガンマ線は危険な放射線であり、人にとっては非常に有害なものです。
広島に投下された原爆では、爆発の熱量以外にも、白血病や癌などの放射線障害の被害が数多く報告されましたが、こうした被害をもたらした原因は、原爆の原子崩壊によって放射された中性子線とガンマ線なのです。
ガンマ線は放射線の中でも特に強力で、あらゆる物質を貫通してしまいます。重い元素に吸収される性質があるため、鉛や鉄などが有効とされますが、10分の1にエネルギーを減衰させるにも4cm近い厚さの鉛が必要になります。
ちなみに中性子線はガンマ線より貫通力が高いですが、水素に影響されやすいため水で遮蔽することができます。
現在NASAは2024年に予定されている有人月探査プロジェクト、アルテミス計画を進行中ですが、月がこれだけのガンマ線を放射しているとなると、月へ行く宇宙飛行士にはかなりの放射線被爆リスクがあります。
そのため、今後の月探査には大量のガンマ線に備えた対策を考える必要があるようです。
宇宙には人体に有害な放射線に満ちているということは、すでに常識となっていますが、月がこれほどのガンマ線の宝庫では、月で暮らすというSF的な夢さえ、ちょっと考えものだなという気がしてしまいますね。