高速回転する小惑星
こうした変色は表層が吹き飛ばされたためだと考えられています。
それが尾となって輝き、新たに現れた表層が近赤外線観測で小惑星を変色して見せたのです。
では原因はなんでしょう? 研究者たちは、それを小惑星が高速で回転しているためだと考えています。推定では、小惑星はおよそ2時間周期というハイペースで自転しているというのです。
小惑星のおよそ10%は、このように速い周期で回転しているといいます。こうした小惑星の回転を生むの太陽の影響です。
太陽から放射される光子が、小惑星にぶつかった場合、その殆どは反射されてしまいますが、一部の光子は小惑星に吸収されます。そしてそれは、熱や運動量となって再放出されるのです。
これは非常に小さな力なのですが、何100万年も掛けてこの力が加わることで、やがて小惑星を高速で回転させるようになるのだといいます。
これをYORP(ヨープ)効果と呼びます。
実際にYORP効果が起きているかを確認するためには、小惑星の輝度変化を測定する必要があります。ただ現在、この小惑星は尾部の輝きによって本来の輝きが隠されているため、詳細な調査は今後の計画へと持ち越されることになるようです。
美しい尾を描く小惑星は、高速回転しながら崩壊しているという、なかなか豪快な状態のようです。いずれ完全に崩壊することになった場合、それはかなりダイナミックなイベントになる可能性もあるといいます。ひょっとしたらそんな姿を地上から観測できる日も来るかもしれません。