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お月見を最高に楽しむための「十五夜マニュアル」完全版!韓国や中国のお月見との違いは?

2019.09.13 Friday

Credit: depositphotos

本日9月13日は十五夜。月が1年でもっとも美しい日と言われていますね。

それにともない、全国各地で十五夜にまつわるイベントが行われます。星のソムリエ®である筆者も、観望会で解説スタッフとして月にまつわる面白い話をする予定ですが、一足先に本記事にて、「知っておくとお月見がもっと楽しめる」話をしようと思います。

お月見にまつわる雑学から、実際の観察のポイントまで、どうぞご覧ください。

十五夜豆知識

そもそもお月見っていつから始まったの?

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日本には、月を愛でる慣習が縄文時代からすでにあったとも言われています。いっぽう、中国でも唐の時代にはお月見の日に月を鑑賞する風習があり、宋の時代になると「夜通し騒ぐイベント」となったという記録があります。

それが日本に入ってきて、平安時代の貴族社会では管弦を楽しみながらお酒を飲むなど、催し物として規模が大きくなっていったとのこと。

いっぽう庶民の社会では、ただ月を眺めて楽しむものでしたが、時代とともに、お供え物をして収穫の感謝や豊作の祈願をすると同時に家族の健康や幸せを祈る、宗教的な要素が加わっていきました。

今年の十五夜は、満月? それとも欠けている?

十五夜というと、まんまるのお月様を想像しがちですが、実際は満月の1日前~2日前の年も多いです。今年も満月の1日前になります。

十五夜の日の月は、旧暦(太陰太陽暦)の8月15日の月のことを言います。別名、「中秋の名月」とも呼ばれますよね。この日は、秋分の日である9月23日以前の新月の日から起算して、15日目と定義されています。

ところが、月の満ち欠けは新月から次の新月まで29.53日なので、ピッタリ30日ではありません。よって、15日目が満月の日とズレてしまうことがあるのです。

ちなみに、12カ月だと354日。現代の暦(太陽暦)では1年は365日なので、11日も足りないという計算に。帳尻を合わせるために「閏月」を設けて、1年が13カ月の年があったそう。現代の閏年で1日増えるどころではないですね。閏月がある年は、1年が1カ月増えるなんて、ちょっとお得な気分になったかも…?

月見団子は地方によって形が違う

お月見といえば、お団子をお供えするのが定番ですよね。もともとは主要な作物だった里芋や豆類が供えられていました。今でも、十五夜は「芋名月」という呼び名があります。

すすきもお供えの定番ですね。十五夜のときは、まだ稲が実る前の時期だったため、すすきが稲穂に見立てられて飾られたとのこと。また、すすきは古くから神様の依り代と考えられ、切り口が鋭いことから魔除けになるとされていました。

満月に見立ててお米で団子が作られるようになったのは、江戸時代になってから。当時の月見団子は、1つ三寸(9センチ)もあったのだとか。庶民にお月見の慣習が浸透したのも、この頃と言われています。

月見団子といえば、丸い団子が積み上げられているのが知られていますが、関西では里芋の形に見立てた紡錘形でこしあんが巻かれていたり、名古屋では同じく里芋型で3色になっていたり、静岡では平べったく中央がくぼんだ「へそもち」と言われる形状になっているなど、地方によって差があります。

イラストなどでよく見る、丸い団子を積み上げるのは、関東の文化とのこと。最近はスーパーマーケットなどでも売られているのを見ますが、14個できれいなピラミッド型にするのは正しくないようです。

月見団子の積み方は? 実際にやってみた

団子を作って、月見団子の積み方を実践してみました。団子のサイズは十五にちなんで、一寸五分(約4.5センチ)にするのが縁起がいいそうです。食べきれないので、今回は小さくしています。

数は十五夜にちなんで15個、もしくは1年の満月の数にあわせて12個もしくは13個(閏月の年)にするのが基本とのこと。

月見団子を15個並べる

まずは1段目に9個並べます。

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2段目に4個並べて…

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最上段に2個乗せます。

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最上段に自分から見て、縦並びになるようにします。横並びにすると、仏様に備える形式になるので注意。

最上段に2個ではなく、おさまりの良い1個で乗せたくなりますが(14個)、これは間違いです。

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月見団子を13個並べる

下の段に団子を8個並べます。

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2段目に4個並べて、最上段に1個乗せます。

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月見団子を12個並べる

1段目は13個のときと同様に8個並べますが、2段目に3つ並べます(1個のほうを手前にするという説あり)。それから、最上段に1個乗せて完成。

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ただし、今回は白玉粉で作ったため、ものすごく滑って積みにくかったので、団子粉(上新粉)を使うほうが良いと思います。

ちなみに白玉粉と団子粉の違いは、白玉粉の原料はもち米なので、良く伸びてつるんとした食感。団子粉の原料はうるち米(普段食べるご飯と同じ)で、歯切れの良い食感です。調理も前者は茹でる、後者は蒸すという違いがあります。

中国や韓国のお月見は?

月餅 / Credit: misbehave

同じ東洋の中国と韓国にも観月の文化があります。中国では旧暦8月15日を「仲秋節」といい、「春節」(旧正月)に次ぐ大きな行事の日です。収穫を祝って月を拝むのは日本と同じですね。筆者は大学時代に神戸に住んでいたので、南京町で催されるイベントに出かけたものです。

また、中国の十五夜で食べられるものといえば、月餅です。丸い形から家族の円満を表すとのこと。「仲秋節」には、遠く離れた家族も集まるので、食後に『月餅』を食べ、家族の団欒の幸せを願うそうです。

韓国では旧暦8月15日を「チュソク」といい、漢字で書くと「秋夕」になります。月明りがきれいな夜、という意味があり、ご先祖さまに感謝し、収穫を祝うそうです。

ご先祖のお墓に行って、きれいに掃除をして祈るというお盆ぽさがあるのが日本と異なるところ。また、ソンピョンというお餅を食べます。中にごまや栗やなつめなどのさまざまな餡が入った、カラフルに色付けされたお餅です。

日本固有の行事、十三夜のほうが月が美しいのはなぜ?

十五夜の約一カ月後に十三夜もありますよね。今年は10月11日ですが、十三夜って日本固有の行事なんです。十三夜は、「栗名月」「豆名月」とも呼ばれます。

延喜19年(919年)に宇多天皇が旧暦8月15日の十五夜に加えて、旧暦9月13日にも宴を行ったのが始まりという説があります。

十三夜は十五夜についで、美しい月とも言われます。でも、最近「十三夜の方が綺麗だと思うんですけど、なぜなのでしょう」と質問されたので、以下のように答えました。

気温が低くなってくると、空気に含まれる水蒸気の量が減り空気中にチリやホコリを含みにくくなるので、月がきれいに見えます。

よく、冬は空気が澄んでいて、星がきれいに見えると言われますが、それと同じです。関東地方だと冬は乾燥するので、なおのこと。逆に気温が高くなってくる春は「おぼろ月夜」のようにかすんでいる月が思いおこされますよね。

さらに、「十三夜は曇りなし」という言葉があるように、晴れの日が多いので、月が見えて記憶に残ることも、十三夜はより月がきれいに見えることに関係しているのだと思います。

ちなみに平安時代は、十五夜だけ見るのは「片見月」と呼んで縁起が悪いこととされていたので、それにかこつけて二度目のデートをとりつける、なんて話もあったとか。現代でもお誘いに使ってみては?

次ページ十五夜の月を観察しよう

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