禁酒1日目から1カ月目までに起こること

たった1日で、体は変わりはじめる
アルコールは体内で約24時間かけて代謝されます。つまり、たった1日お酒を断つだけで、体はすでに回復の道を歩み始めるのです。
まずアルコールの利尿作用によって起きていた脱水が改善されます。
体は水分を取り戻し、これにより脳の働き、消化、エネルギーレベルが向上します。
また、アルコールは肝臓の血糖調節機能を低下させるため、飲酒をやめることで血糖値も安定します。
ただし、毎日飲んでいた人は最初に体調の揺り戻しを感じるかもしれません。
睡眠の乱れ、気分の波、発汗、手の震えなどの軽い離脱症状が出ることもありますが、ほとんどは1週間以内におさまります。
1週間後、眠りの質が劇的に変わる
アルコールは一見、眠気を誘うように見えますが、実際には睡眠の質を大きく損ないます。
しかし、お酒をやめてから1週間もすると、多くの人が朝の目覚めのスッキリ感に驚くことでしょう。
これは深い睡眠がとれるようになるからです。
同時に、肝臓も再生を始めます。
軽度なダメージなら、1週間で肝臓の脂肪が減少し、組織の修復が始まります。
さらに、わずかな飲酒でも脳の働きを鈍らせることがあるため、禁酒によって集中力や記憶力が改善される人もいます。
1カ月後、心と体が軽くなる
1カ月経つころには、心の健康にも明確な変化が現れます。
アルコールは不安や抑うつの症状を悪化させることがありましたが、多くの人が「気分が前向きになった」と感じるようになります。
重度の依存者でさえ、1〜2カ月で明らかな改善を報告しています。
この時期には体重や体脂肪が減る人も多く、肌の調子も良くなります。
アルコールによる炎症や脱水が収まることで、顔色が明るくなり、肌にハリが戻るのです。
胃腸の不調——たとえば胃もたれ、下痢、膨満感、胸焼けなど——も、この頃にはかなり改善されるでしょう。
さらに血圧は平均して6%低下し、インスリン抵抗性(糖尿病のリスク要因)も25%改善されるというデータもあります。
がんのリスクを高める成長因子も減少するため、1カ月の禁酒が病気予防に直結することがわかっています。