十五夜の月を観察しよう
本日の月の見どころ
十五夜の豆知識をつけたところで、実際の月の観察について、楽しめるポイントをご紹介したいと思います。
今年の十五夜の月は、17時44分に昇ります。南中する時刻は、23時20分(東京都)。全国各地の詳しい情報は、国立天文台のサイトを参考にしてみてください。
安いものでいいので、双眼鏡で見てみると、月の地形やクレーターもよくわかるので、オススメですよ(以前、ガリレオ衛星の観察の記事で、双眼鏡に関して言及しているので、ご覧ください)。
今年の十五夜は満月ではない、と残念がる必要はありません。月は満ち欠けによって、それぞれ見どころが変わります。
三日月は、地球が太陽の光を反射する「地球照」によって、明るい三日月の部分とうっすら満月のように見える部分の対比が美しいですし、半月は暗い部分との境目の凹凸やクレーターがよく見え、観察が面白いです。満月だと全体図が見えるものの、平面的に。少し欠けているなら、立体的に見ることができます。月面地図を見ながら、観光気分で楽しみましょう!
必ずしも、ウサギにあらず。月の黒い部分、何に見える?
満月やそれに近い月だと、「月の海」と言われる黒い部分がよくわかりますね。
日本だと、このようにウサギがお餅をついていると言われています。
でも中国では、ウサギが薬草をついて煎じているとも言われてるんですって。
地獄を舞台に、おとぎ話や神話もネタにしたブラック・コメディ漫画『鬼灯の冷徹』で、中国の聖獣、白澤が天界で営む漢方薬局の従業員たちがウサギなのですが、その元ネタは恐らくこれですね。
世界各国を見ると、カニに見えるとか、
女性の横顔に見えるという話も。
ほかにも、「ガマガエル」「吠えるライオン」「ワニ」「水牛」「ロバ」「魔法使い」「芝刈りのおじいさん」など、各国ではいろいろな見方があります。お月見のときにイメージしながら見てみてください。
月の観光名所案内
最後に話のネタになりそうな、月の地名をご紹介します。
周りよりも平らになっていて、黒く見える部分が「月の海」ですが、場所によって名前がつけられています。一番有名なのが、「静かの海」でしょう。「ウサギの顔」の部分になります。
史上初めて人類が降り立った場所、アポロ11号の着陸地です。今年はアポロ月着陸、50周年ですからね。
また、クレーターには歴史的に有名な天文学者の名前が付けられています。
もっとも目立つクレーターは、「ティコ」。月が満ちていると、光条と呼ばれる放射状の筋がよく見えます。クレーターは隕石がぶつかってできますが、隕石に含まれる物質が周りよりも明るいのと、クレーターのできた時期が新しいため、はっきり見えると考えられています。
「ティコ」の名前は、「驚異の部屋」をはじめ稀代の収集家として知られる、神聖ローマ皇帝ルドルフ2世に仕えた天文学者、「ティコ・ブラーエ」に由来します。占星術師や錬金術師、作家でもあったとか。
ティコ・ブラーエは、はじめて組織的な天文観測を行なった経験主義科学者で、彼の蓄積した40年にわたる膨大な観測データをケプラーが分析することで、天体の運行法則に関する「ケプラーの法則」の発見につながったと言われています。功績のわりに知名度がいまひとつなので、覚えてあげてください。
また、次に目立つのは「コペルニクス」というクレーター。コペルニクスは地動説を唱えたことで、有名ですね。
個人的に一番好きな地名は、「ウサギの腰」あたりにある弓なりの地形、「虹の入り江」です。ちょっと高知県の桂浜のようにも見えますが。でも、桂浜も古来より月の名所として知られていますしね!
ちなみに、ウサギの胸の部分「晴れの海」にも名所があります。
『美少女戦士セーラームーン』の主人公、月野うさぎが前世で月のお姫様だったときに住んでいた、王国「シルバー・ミレニアム」とお城、「ムーン・キャッスル」があったのがここという設定なんですよね!
ラテン語の名前は、「MARE SERENITATIS」(マーレ(海)・セレニタティス)ということで、お姫様の「プリンセス・セレニティ」の名前は、こちらからとったのでしょう。
観望会でサブカルが好きそうなお客さんに、このネタを言いたいのですが、満月とタイミングがあわずにまだ実現できていません。今年の十五夜では言ってみることを密かなミッションにしています。
それでは、今夜の十五夜を楽しみましょう!