「死」を否定することで今を生きる
同チームのAvi Goldstein氏は、この結果を次のように説明します。
「これは、脳が実存的な恐怖、あるいは『自分が死ぬ』と意識的に思考することから身を守っている証拠です。主な方法は『自分と死を結びつける予測を遮断すること』、『死に関する情報はすべて他人のもの』と認識することでした」
こうした防御機制は、心が発達していき、「死がすべての人に訪れる」という事実を理解する時期にスイッチが入るそう。それ以降、脳は自分と死を結びつける情報に出くわすと、信頼性のないものと認識し、信じるべきではないと自身に伝達し始めます。
しかし、Dor-Ziderman氏は「死を否定する働きのおかげで、私たちは今を生きることができる」とも指摘します。「死」という避けがたい運命に直面することで、生を無価値なものと錯誤することは、生命存続の危機に関わります。
私たちは、結局のところ、死を理性的に否定できないのですが、それでも脳が死への無関心を貫くことで、今を生きていくことができるのです。