- テキサス州で、別種の女王アリの背に乗り移動する「ロデオアント」が発見される
- ロデオアント自身も女王アリだと判明しており、ロデオは働きアリを作るコストの削減や移動の簡易化が目的だと考えられる
アメリカ・テキサス州で、別種のアリに乗りこなし移動するロデオアントが、新たに2種類発見されました。
テキサス州と言えば、牛や馬にまたがりロデオするカウボーイが有名な町。しかしテキサスでは人だけでなく、どうやらアリもロデオをするようです。
発見されたロデオアントは、それぞれ「Solenopsis inquilina」と「Solenopsis infiltrator」と名付けられています。
研究の詳細は、11月17日付けで「Entomology 2019」に掲載されました。
https://esa.confex.com/esa/2019/meetingapp.cgi/Paper/146874
ロデオする側もされる側も「女王アリ」だった
ロデオアントを発見したのは、テキサス大学オースティン校の昆虫学者アレックス・ワイルド氏。
ワイルド氏が、同大学が所有するブラッケンリッジ・フィールド・ラボラトリーの敷地内の石を裏返してみると、その下には大きな頭部を持ったアリたちが巣を張っていました。
そしてその中に、一番大きな女王アリの背に乗る「別種の小さなアリ」が見つかったのです。
ワイルド氏が見つけたロデオアントは、「Solenopsis inquilina」と名付けられています。
さらに、同氏は学生に協力してもらい、敷地内の石という石をひっくり返して、同種のロデオアントがいないか調査しました。
すると、学生の1人が、同じように別種のアリの背に乗る小さなアリを見つけたのですが、驚くことに、ワイルド氏が見つけたロデオアントとは別の種類であることが判明したのです。
こちらは、「Solenopsis infiltrator」と命名されています。
実はロデオアントが見つかったのは、これが初めてではなく、スイスのアルプス山脈で見つかった「Tetramorium inquilinum」が最初と言われています。
このアリの特徴は、しがみつくための長い手足と、女王アリの背にフィットするための窪んだお腹。
ロデオアントが女王アリの背にまたがるのは、単なるヒッチハイクとは違います。実は、別種の女王アリの背に乗るロデオアントもまた、その種の中の女王アリだというのです。
小さなロデオアントは、別種の女王アリに乗ることで、彼女自身の取り巻き(働きアリ)を作るコストを削減し、食料も大きな女王アリの巣から頂戴しているとのこと。
そして、大きな女王アリが巣から移動するときは、その背に乗って自分も移動し、コロニーを広げて行くのです。ワイルド氏によると、発見されたロデオアント種の働きアリは見つかっておらず、彼女らもまた側近を持たないことが考えられます。
なんとも賢い生存戦略ですね。