- ジャイアントパンダの赤ちゃんは、妊娠期間の約7割で、常に未熟児として生まれていることが判明
- 新生児と大人のサイズ比は、1:900を越えており、胎盤性の哺乳類の中では最も格差が大きい
大人のジャイアントパンダは体長190cm、体重120kgにもなりますが、出生時は90〜130グラムと極端に小さな体で生まれます。
ほとんどの哺乳類において、新生児と大人のサイズ比は1:26ですが、ジャイアントパンダだけ1:900を越えているのです。
ジャイアントパンダが小さく生まれる理由は、今も謎に包まれています。
しかし今回、アメリカ・デューク大学の研究により、その謎の一部が垣間見えてきました。なんとジャイアントパンダの赤ちゃんは、常に未熟児として生まれていたのです。
研究の詳細は、「Journal of Anatomy」に掲載されました。
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/epdf/10.1111/joa.13127
妊娠期間のおよそ7割で生まれていた
ジャイアントパンダの妊娠期間は3〜6か月で、1回の出産につき1〜2頭の子供を産みます。生まれたばかりの新生児は、人の手のひらに乗るほど小さく、肌もまだピンク色で、目も見えません。
クマ科の動物は、基本的に新生児が小さいことで有名ですが、ジャイアントパンダは特にその傾向が著しく、すべての胎盤性哺乳類の中で最も大人と子供のサイズ格差が大きいのです。
この謎を解明するため、研究チームは、ジャイアントパンダの赤ちゃんの骨格をCTスキャンし、3Dモデルを作成。骨の成長や骨格プレート同士の固着のプロセスなどを調べました。
それと同時に、グリズリーやホッキョクグマ、レッサーパンダなど、他のクマ科の新生児についても同様の調査をしています。その結果、クマ科の新生児は、他の新生動物と同じ骨格の発達を示し、妊娠満期で正常に生まれていることが分かりました。
しかし、ジャイアントパンダだけは例外だったのです。
ジャイアントパンダの新生児の骨格は、子犬の胎児にとても近く、妊娠期間の約7割、つまり予定より数週間も早く生まれていました。人間に換算すると、通常40週のところを、わずか28週で生まれるのに値します。
ジャイアントパンダは、常に未熟児として生まれていたのです。
しかし、その理由についてはいまだに分かっていません。一説には、パンダを含むクマ科の動物は、過去2000万年で大人のサイズが大きくなっているのに対し、新生児だけは変わらず小さいまま生まれているんだとか。
生命の進化には、まだ多くの謎が隠されているようです。