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超巨大ブラックホールから「光速の99%の速度」でジェットが発射されていた (2/3)

2020.01.12 Sunday

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光速度を超えて見えるジェットの速度

Credit:NASA/CXC/SAO/B. Snios et al.

ブラックホールはその重力によって多くの物質を引き寄せ、降着円盤という観測でも見ることにできる光る円盤構造を造ります。しかし、この物質のほとんどはブラックホールに落ちることはありません。

降着円盤に乗った物質の多くは、ブラックホールの極方向に伸びる磁力線をたどって勢いよく外へ放出されることになるのです。

これが現在有力とされているブラックホールジェットのメカニズムです。

これらのジェットはずっと連続して放射されるわけではなく、かなり不規則に発生します。そのためジェットは上の画像のように、定期的に現れる塊や結び目のような姿で観測されます。

今回の研究はこの塊に注目して観測が行われました。塊に注目して観測することで、ジェットの噴射時の場所と少し離れて移動した場所において、同じ粒子が放っているX線の放射を観測することができたのです。

この観測によって、今回の研究チームはジェットの速度を計測することに成功しました。

その結果は、驚いたことに見かけの速度が光速の6.3倍に達していたのです。

「ちょっと物理法則破ってるよ! アインシュタインは間違っていたの?」 と思う人もいるかもしれませんが、これはジェットの放射方向が、観測者の視線方向に傾いている場合に起きる、光学的な錯覚が原因です。

これを超光速運動と呼びます。

錯覚なので、本当に光速を超えて動いているわけではありません。

次ページ超光速運動とは?

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