この芸術的とも言える不思議な構造物はシルクヘンジと呼ばれ、2013年に初めてペルーのアマゾンで発見されました。
大きさは2cm程度と非常に小さくヒトの指先くらいの大きさです。これを発見したジョージア工科大学のTroy Alexander氏は、海外の科学関連の掲示板Redditに写真を貼って、何であるのか意見を募りましたが、誰も回答することができませんでした。
このシルクはクモの糸で、なんらかのクモによって作られた巣であることは現在明らかとなっていますが、それがなんの種であり、何のためにどうやってこの構造を作り上げているかは未だに謎に包まれています。
熱帯昆虫学者のPhil Torres氏は、そんな謎の多いシルクヘンジを探し出し、高画質の動画をアップロードしました。
謎のクモの巣 シルクヘンジ
Torres氏は巣の発見には苦労したと言います。これは非常に小さく、葉の裏側などに作られていたりするのです。
この奇妙なクモの巣の中央に立つ尖塔の根本には、クモの卵嚢が2つから3つ収められています。
今回の撮影では、その卵嚢から金色のクモの赤ちゃんが生まれる様子を撮影することにも成功しています。
この映像はクモの専門家がクモを識別するために役立つだろうとTorres氏は説明しています。
現在科学者たちは、このシルクヘンジのフェンスが構造的に重要な意味があるのか、それともただ中央の円錐を構築するプロセスの結果残ったものなのかすらもわかっていません。
しかし、このフェンスは生まれたクモの赤ちゃんをスズメバチから保護する役目を持つかもしれないと、撮影者のTorres氏は語っています。
彼は2016年にこれらの巣を観察に来た際、この巣の1つにスズメバチがたかっているのを見たと言います。この構造はそうした捕食者からの防御が目的の可能性があり、スズメバチが着陸することの障壁になるのかもしれません。
ただ、Torres氏が目撃したときは、その防御能力は上手く機能していなかったそうです。
結局のところ、この不思議なシルクヘンジはクモの赤ちゃんを包む巣であるということ以外は不明です。
これがどの種類のクモの巣なのか? どうやって作っているのか? 芸術性の高い不思議な構造に意味はあるのか? それらは謎に包まれています。
ここまで色々と見つかっていても未だ謎のクモ。DNAでも特定はできていないようで完全に未知の種であるようです。
Torres氏は、今回の調査で発見した重要な事実として、1つ巣を見つけることができれば、すぐ近くのエリアでさらに多く見つけることができることだと話しています。
彼らはクラスターとしてこの巣を特定のエリアに集中的に作っているようです。これはこのクモの生態を知るための1つの手がかりでしょう。
もう未発見のものなんてほとんどなさそうに思える地球ですが、こんな特徴的な巣を作るクモについて、何もわかっていないというのは面白い事実です。まだまだ地球には不思議があふれているようです。