- 深海2600mに放置したワニの死体を食べたのは、ダイオウゾクムシやホネクイハナムシだった
- 1頭のワニの死体は、拘束具ごと消えてしまった
深海生物は形も食生活も個性豊かで、謎に包まれている部分が未だ多く存在します。
そのような謎を解明するべく、「おもり」に縛り付けた淡水ワニの死体をメキシコ湾深海2600mに置くというユニークな実験が行われました。
分厚く硬いうろこ状の皮に覆われたワニの肉を食べる深海生物はいたのでしょうか?
研究の詳細はジャーナル誌「PLOS ONE」に掲載されました。
Alligators in the abyss: The first experimental reptilian food fall in the deep ocean
https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0225345
3頭のワニは深海生物たちによって綺麗に食べられた
この実験では3頭のワニが深海に放置され、その様子が観察されました。
1頭目のワニは1日もしないうちに、巨大なピンク色の甲殻類(ダイオウゾクムシ)によって内側から食べられ始めました。
ワニにはたくさんのダイオウゾクムシが群がりました。その一部がワニの皮膚に穴をあけ、内側から肉を食べ始めたのです。ダイオウゾクムシは少食で飢餓に強いことで知られていますが、空腹のダイオウゾクムシはワニの硬い皮を食い破るほどの食欲を見せました。
2番目のワニは51日後に訪問してみると、骨まで綺麗に食べられていました。ワニの背骨と頭蓋骨は残っていましたが、その骨には茶色の羽毛のようなものが固着していました。
これらは、DNA分析により、ホネクイハナムシの新種であることがわかりました。ホネクイハナムシは羽毛のような外見の生物であり、別名ゾンビワームとも言われています。死骸に群がり脂質を取り込んで栄養を得ていると考えられています。
3番目のワニは、なんと1週間もしないうちに拘束具ごと跡形もなく消えてしまいました。ワニと拘束具の合計重量が36kgであることを考えると、大きな捕食者によって持っていかれた可能性が高いでしょう。研究者たちはサメが犯人であると推測しています。