- 重ね合わせの状態が徐々に崩壊していく様子を映画フィルムのように撮影できた
- 重ね合わせが失われない測定の強さを知る方法が判明
生きている状態と死んでいる状態が重ね合わさったシュレーディンガーの猫は、量子力学的な奇妙な現象の代名詞とも言えます。
量子力学において物体の状態は観察するまで確定しないとされ、シュレーディンガーの猫もまた観察によって生死が決まるのです。
しかし今回スウェーデン、ドイツ、スペインの研究者が、重ね合わせの崩壊に僅かな時間の猶予があることを利用して、崩壊中の重ね合わせの状態の撮影に成功しました。
重ね合わせの世界にいるシュレーディンガーの猫は、どのように撮影されたのでしょうか?
研究内容はストックホルム大学のファビアン・ポコルニー氏らによってまとめられ、2月25日に学術雑誌「Physical Review Letters」に掲載されました。
https://journals.aps.org/prl/abstract/10.1103/PhysRevLett.124.080401
観察と重ね合わせの崩壊
小さな量子の世界では、物体が確率的にしか存在できないとされています。
そのため、1つの物体が2つ以上の状態にある重ね合わせの状態が起きるのです。
しかし、この重ね合わせの状態は非常に繊細であり、観察によって容易に崩壊してしまいます。
シュレーディンガーの猫で例えれば、生死が不明だった猫の「重ね合わせ状態」が崩壊して初めて、猫が生きているか死んでいるかが確定するのです。
対象となる状態の破壊をもたらしては、正常な観察とは言えません。
この観測と重ね合わせの崩壊は長年、物理学者の頭を悩ませてきました。