難問を解決する数学的アルゴリズム
この複雑な計算を、今回の研究者たちは動的ボロノイ・メトロポリス・サンプリング(DVMS)と呼ばれるアルゴリズムを使って解析することに成功し、126次元すべてにわたる波動関数が得られたといいます。
このアルゴリズムは、次元空間を等価なタイルに分割することで、それぞれの電子位置の順列に対応させています。
何を言っているかよくわからないかもしれませんが、ボロノイ図は複数の点に対して領域分けをしてパターンを作る手法です。
今回の研究は電子スピンを理解するために、こうしたボロノイ領域の分割を利用しました。
この解析は、電子スピンを理解するために面白い発見をもたらしてくれたと研究者は語っています。
ベンゼンの構造については、ケクレ構造式と呼ばれる方法で表現されています。
これは電子を一つずつ共有してつながる単結合と、2つずつ共有してつながる二重結合が交互に繰り返されて炭素が六角形を作っているというものです。
略式の六角形に二重線の部分があるのは、二重結合を表現しています。
今回の研究ではこうした構造は、化学者がどう考えるかに関係なく、本質的に互いに反発する電子を、互いが邪魔しないようにすることで分子のエネルギーを減らして、より安定化させているためだとわかるのだといいます。
この研究成果は、太陽電池や有機発光ダイオード、その他の次世代技術の将来設計に影響を与える可能性があるそうです。
複雑な話ですが、「126次関数を解いた!」というだけで凄さが伝わりますね。