もし地球に小惑星が落下することになったらどうしましょう?
コロナどころではなく人類は終了です。
そんなわけで、NASAを含む世界の研究機関は共同で、もしものときに備えて危険な小惑星の地球衝突を防止するテクノロジーの研究を進めています。
そして、実際に小惑星まで行って、小惑星の運動を変化させるという実演ミッションが現在計画中なのです。
それがDouble Asteroid Redirection Test (DART)ミッションです。
DARTミッションとは?
このミッションでは、地球に近い連星小惑星Didymos(ディディモス:ギリシャ語で「双子」)に向かい、小さい方の小惑星の軌道をそらすというものです。
ディディモス連星小惑星には、直径約780メートルの大きいディディモスAと、直径約160メートルの小さなディディモスBがあり、DARTミッションがターゲットにしているのは小さいディディモスBです。
このミッションでは、「キネティック・インパクター・テクニック」と呼ばれる手法をテストします。これは目標の小惑星に探査機をぶつけて軌道を偏向させるという方法です。
計画では2021年7月に探査機を打ち上げ、地球から1100万キロメートルの範囲内にいるディディモスへ、9月22日には到達することを目標にしています。
もし小惑星が地球にぶつかるコースを飛んでいる場合、その軌道上には重力キーホールと呼ばれる領域が存在します。ここを超えると、小惑星の地球衝突を回避することは不可能です。
そのため、小惑星の軌道をそらす計画では、小惑星発見後、重力キーホールに到達される前に速やかにミッションを完了させる必要があります。
つまり、このミッションで鍵を握るのは、1100万キロメートルという距離を数ヶ月間で航行可能で、小惑星にぶつけて軌道をそらすこともできる、強力な推進力を持ったエンジンの存在なのです。