1999年、アフリカ東南部・マダガスカルで発見された動物の化石が、20年の研究期間を経て、ついに新属・新種の哺乳動物であることが特定されました。
この動物は「Adalatherium hui(以下、A.hui)」と命名され、これは「狂ったケモノ(crazy beast)」を意味します。その名に負けず、奇妙な生態・進化を辿っているようです。
生息年代は中生代末期の「マーストリヒチアン時代(約7210万年〜6600万年前)」。
研究を行ったオーストラリア・モナーシュ大学は、「南半球で発見された最古の哺乳動物である」と話しています。
「幻の哺乳類」の秘密をあばく鍵となる
研究の結果、A.huiは「ゴンドワナテリア」と呼ばれる幻の哺乳類に属することが分かりました。
ゴンドワナテリアは、同時期の南半球にいた哺乳動物群のこと。すでに絶滅しており、化石記録も少ないため(歯と顎の一部のみ見つかっている)、詳細はほとんど知られていませんでした。
そこへ来て、A.hui(しかも全骨格)が見つかったことは奇跡に近いでしょう。
これで、幻の哺乳群であるゴンドワナテリアの解明が一気に進展することが期待されています。