現生の哺乳類には見られない特徴の数々
化石分析により、A.huiには、現生および絶滅した哺乳類の骨格と異なる点がいくつも見つかっています。
例えば、鼻の領域に「septomaxilla」という骨が見られるのですが、これは、現生哺乳類の祖先において、約1億年前に消えたものです。
それから、頭蓋骨には、他のどの哺乳類よりも多くの開口部が見られました。これらは、頭蓋骨により多くの神経や血管を通すことで、嗅覚やヒゲの感度を高める目的があったとされます。
こちらは、A.huiを360度から見た20秒ほどの映像です。
これを見ると、後ろ足がかなり湾曲して弓なりになっていることが分かります。
理由は不明ですが、「地面を掘るのに便利だった」「走るスピードを速めるのに有利だった」など、色々な推測がなされています。
発見された個体は、まだ発達段階にありましたが、同時期の哺乳類に比べると大きく、ネコほどのサイズで推定体重は3.1キロでした。
また、歯の分析から、草食であったことも判明しています。
マダガスカルのような孤島は、大陸とは異なり、孤島独自の進化ルールを持ちます。
例えば、もともと大きかった生物は、エサが少ないせいかサイズダウンし、反対に、小さい生物は、天敵が少ないせいかサイズアップするのです。
A.huiもこうした環境の中で、普通の哺乳類とは違う進化をしたのでしょう。
研究は、4月29日付けで「Nature」に掲載されています。