原子のサイクルを利用した究極の時計
今回の実験結果を応用することで、完璧な精度をもった究極の時計を作ることが可能になりました。
エネルギーを与えられた原子(レニウム)の電子は、きっちり同じ時間(約130日)でエネルギーを放出して元の軌道に戻るからです。エネルギー放出によって、原子の質量もまた、元に戻ります。
このことを利用して「エネルギー照射」「原子の質量増加と電子の軌道変化」「原子のエネルギー放出」の3つを循環させることで、光学電子時計を含むあらゆる時計よりも正確な、究極の時計をつくることが可能になります。
また、回転を利用した質量検知技術は、非常に弱い重力でしか検知できない未知の粒子を探す手伝いになると考えられます。
最も期待されているのは、この超精度の質量検知技術を暗黒物質(ダークマター)の探索に用いることです。
人類の基礎科学は新しい測定方法をみつけることで進歩してきました。
新しい質量測定法は人類に、ダークマターの制御をも可能とするかもしれませんね。
研究内容はドイツ、ハイデルベルク大学のR. X. Schüssler氏らによってまとめられ、5月6日に世界で最も権威ある学術雑誌「nature」に掲載されました。