- 米の全ゲノム解析により、ジャポニカ米が4200年前の寒冷化で世界各地に広まったと判明
- 一部の稲が寒冷化に適応することで温帯ジャポニカ米となり、北緯に広まっていった
- 熱帯ジャポニカ米は人の移住と共に東南アジアへと拡散
現在、米は世界で最も重要な作物の1つであり、世界人口の半分以上の主食となっています。
しかし、これまで米の拡散について明確なルートは明らかになっていませんでした。
ところが最近、ニューヨーク大学のラファエル・グテイカー氏らの研究によって、稲作の歴史的な広がりと動きを再構築することができました。
その結果、稲作の広がりには4200年前の寒冷化が大きく関係していることが判明したのです。
米の多様性とジャポニカ米
稲の栽培種はアフリカイネとアジアイネに分かれます。そしてアジアイネの中にはインディカ米及びジャポニカ米が含まれます。
さらにジャポニカ米は、熱帯ジャポニカ米(ジャバニカ米)と温帯ジャポニカ米に分類されています。
熱帯ジャポニカ米は陸稲とも呼ばれており、畑作向きです。対して温帯ジャポニカ米は水稲とも呼ばれており、水田栽培向きの品種となっています。
日本では温帯ジャポニカ米が主に栽培されていますね。
2つのジャポニカ米には形状だけでなくDNAの配列にも違いがあり、はっきりと区別できるようになっています。
このように、現在では多種多様な米が世界中で見られますが、その起源は9000年前にも遡ります。
最初は中国の長江渓谷で栽培されていましたが、その後中東、アフリカ、ヨーロッパ、南北アメリカに続いて、東、南東、南アジアへと広まっていったのです。
この過程で米は進化していき、様々な環境に適応したと考えられていますが、米の広がり関する詳細なルートやタイミング、その原因はほとんど知られていませんでした。