- オーストラリアでは飼いネコにより年間3億9000万匹の動物が殺されている
- ペットのネコであっても、地域の在来種減少に寄与するほど動物を殺していると判明
- ネコが持ち帰る獲物は15%程度で、ほとんどのネコが飼い主の知らないところで狩りをしている
愛らしい見た目とは裏腹に、ネコは非常に残忍な狩猟者です。
オーストラリアの研究で、野良ネコが年間に殺害する動物の数は30億匹を越えていることが報告されています。
1788年以降、オーストラリアでは34種類の哺乳類が絶滅していますが、そのほとんどにネコが関与しており、現在絶滅危機に瀕している123の在来種の減少も、ネコが大きな原因になっているようです。
そして、これは野良猫だけの話ではありません。新しい研究では、ペットのネコに関する66もの研究報告をまとめ、ペットのネコが年平均で186匹の在来種を殺しているという結果を報告しています。
これは合計すると、1平方キロメートルあたりの地域で、ペット猫によって年間4440~8100匹もの動物が殺されていることになります。
これは固有の絶滅危機に瀕する在来種が多いオーストラリアならではの研究です。日本の場合、ネコは害獣駆除に貢献している割合の方が高いと考えられ、そこまで目くじらを立てる問題ではないかもしれません。
しかし、この研究はペットのネコが隠れて裏では何をやっているのかを教えてくれるかもしれません。
うちの子は大丈夫
オーストラリアでは約27%の家庭がネコを飼っていて、そのうちの71%(約270万匹)が放し飼いにされています。
残りの家庭では、ネコは家の中で24時間管理して飼われており、そうした飼い主は自分のネコが外で狩りをすることはないと考えています。
しかし、家の中だけで飼われているネコ177匹に対して追跡装置を付けて行動調査を行った結果、69匹(39%)のネコが、夜間に家を抜け出して外出していることがわかりました。
ネコを飼っている人の中には、獲物をお土産に持ち帰られて驚いた経験のある人も多いでしょう。しかし、うちの子はそういうことしない、という飼い主もいるでしょう。
そうした飼い主は、自分のネコは狩りをしないと信じているかもしれませんが、研究ではペットのネコが獲物を家に持ち帰る確率は15%しかありませんでした。
首輪にカメラを仕込んだり、糞便の分析を行った結果では、多くの飼いネコたちが持ち帰ることなく、外で動物を殺していることが確認されたのです。